研究課題/領域番号 |
24500238
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
尾下 真樹 九州工業大学, 情報工学研究院, 准教授 (20363400)
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研究分担者 |
山中 玲子 法政大学, 付置研究所, 教授 (60240058)
岩月 正見 法政大学, デザイン工学部, 教授 (50213301)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アニメーション / 動作合成 / 能楽 / 伝統芸能 |
研究概要 |
本年度は、本研究課題の最初のステップとして、これまでに研究代表者が開発した動作合成手法を拡張して、能の所作の動作データに適用できるようにし、本動作合成技術を用いた能の舞のアニメーション制作システムを開発した。本システムを利用することで、誰にでも簡単に、あらかじめモーションキャプチャにより取得しておいた所作単元の動作データを組み合わせて、能の舞のアニメーションを制作することが可能となった。 動作合成手法の拡張として、動作合成の方法やタイミングを決定する上で重要となる、足の拘束条件の判定手法や動作の向きの判定手法の改良を行った。従来手法では、能特有の動作である「すり足」が行われている状態では足の拘束条件が正確に判定できない、といった問題があったが、本年度の研究において、従来の判定アルゴリズムを改良することで、そのような問題を解決した。 また、本動作合成手法、及び、能の舞のアニメーション制作システムを用い、本システムによる合成動作と、手本となるプロの演技者の舞をモーションキャプチャした動作との比較を行った。本年度の研究では、主観的な評価として、能の研究者である山中や、協力を依頼した能の学習者・研究者に動作を比較してもらい、合成動作と手本動作との違いを明らかにした。また、能の舞のアニメーション制作システムについても試用してもらい、非常に有用なシステムであるという評価を得るとともに、より使いやすくするための改良点についても意見を集めた。 本年度の研究成果は、国際会議や国内学会で発表し、国際論文誌への論文投稿も行った。また、上記の研究成果に加えて、本研究への応用を想定した、タッチインターフェースを使った動作選択・生成技術や、動作変形技術についても研究を行い、研究成果発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の最終目的は、改良した動作合成手法により合成動作と実際の演技者の動きを比較・解析することで、機械的に動作合成を行うだけでは再現することのできない、能の演技の本質となる動きの特徴を解明することである。本年度の研究により、動作合成手法の改良を行い、また、さらなる改良が必要とされる課題が明確になったことで、最終目的に向かって着実に進んでいると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、動作合成手法の改良・評価等の研究課題に取り組んでいく計画である。 具体的には、動作合成手法の改良として、本年度の研究で明らかになった課題を解決するため、動作間に余分な姿勢が含まれる場合にも滑らかな動作合成や、重心の移動を考慮した滑らかな動作合成を実現するような改良を行っていく予定である。 また、動作合成手法の改良後は、本年度に行った主観的な評価に加えて、客観的な評価として、動作データを数値的に解析し、合成動作とプロの演技者の動作の違いを定量的に明らかにしていく予定である。 さらに、能の舞において必要とされる歩行動作を実現するために、あらかじめ用意しておいた動作データを用いて、舞台上の任意の目標位置が指定されたときに、自然な歩行動作を生成する手法を開発し、能の舞のアニメーション制作システムに組み込む予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の予定通り、研究打ち合わせや成果発表のための旅費、研究用パソコン等の物品購入、能の専門家やプロの演技者に協力を依頼する場合の謝礼、などに使用する計画である。
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