(1)集合知を用いたカンファレンス実施の方法論確立のため、集合知に関する調査、検討を行い、集合知を活用するためのコンセプトを確立した。同時に、集合知を作成する「場」の概念を明らかにすると同時に、集合知作成に関するアイディアを纏めた。その上で、集合知を形成する手順を明確にした。この手順に従って、複数の介護関係者の間で、新たな遠隔介護機器に関するカンファレンスを行い、そこで、集合知を摘出することに成功した。この結果を受けて、提案手法が有効であることを明らかにした。 (2)複数の相談者からの相談を相談内容によって適切な専門家に送信する「非定型相談エージェント」を開発した。基本的には、相談内容の形態素分析によって専門分野を特定する点に特徴がある。本システムを複数の相談者、専門家で構成される 実験によって検証した。その結果、相談者の満足度が、チャットで行った場合と同等のレベルに達することが分かった。これにより、相談の自動化への道が開けた。 (3)遠隔相談時に、医師側が患者の状況を把握することが出来るように、加速度センサーと非接触の温度センサーを用いた見守りシステムの開発を行った。このシステムにより、医師側が、患者の行動パターンを把握した上で、相談に乗ることが可能となった。 (4)遠隔相談の1つの形態として、患者が必要な時にヘルパーを呼び出して、対応を依頼するシステムの開発を行った。基本的に現在の高齢者は、ICT機器の操作に不慣れである。そこで、マイクからの音声だけで、ヘルパーとの遠隔TV会議が出来るシステムの開発を行った。更に、本システムの拡張系として、ヘルパーを介して医師と患者がTV会議を行う環境を、ICTに不慣れな高齢者でも可能なシステムの開発を行い、高齢者宅で試用して、その有効性を検証した。
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