現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書の最初の2年間の6個の研究項目のうち,3項目で具体的な進展があり研究はおおむね順調に進展していると考えられる.以下各項目の進展を具体的に記載する. 1-(b) 法線モデルの検討:被写体のカメラ平面内回転の再現は容易であるが,奥行きのある被写体のカメラ平面外回転の再現は容易ではない. [1]では,各特徴点の周辺を接平面で近似し奥行きをなくし,近似した接平面を回転させるアイデアで,局所的にGabor特徴量の平面外回転の推定を試みている.近似接平面または法線の設定は視点の異なる画像が2枚以上あれば計算できるが,画像が1枚しかない人物の法線は2枚以上ある他の人物(達)から求めた平均の法線(法線モデル)で代用する必要がある.この法線モデルは似た耳介同士で求めたほうが別姿勢のデータの推定精度向上に役立つ.昨年度は法科学的な分類[2]ごとに法線モデルを作成することで精度向上ができるか検討した.対耳輪の形状の分類に対応する3モデル化,舟状渦の形状の分類に対応する2モデル化で,推定精度の向上が望めることがわかった. 1-(e) 限界の調査:研究代表者らの手法の適用判断基準を調査したところ,船状窩が十分に観察される角度と 解像度でない場合,極端に認証精度が下がることがわかった. 1-(f)防犯カメラでの確認:汎用防犯カメラの画像は広範囲を撮影するため魚眼レンズ効果がかかり,これが照合の妨げとなる.また,実際の現場では超解像処理による鮮明化も行われるが,鮮明化画像が実物を正確に表現するとは限らない.昨年度はこれらの画像を擬似的に作成し研究代表者らの手法の適用限界を調べた.また,法線モデル作成の際に劣化画像を利用することで精度が改善できることも示した. [1] 渡部他,映情学誌,65,7,1016-1023,(2011) [2] 森好, 他,法科学技術, 12(1), 27-34, (2007)
|