研究概要 |
本研究の特色は,その有用性にもかかわらず研究が進んでいない「耳介」を生体認証に用いることにある.実際の鑑識現場では,犯罪現場画像と被疑者の耳介画像のみで個人識別を行わなくてはならないことがある.そして,これらの画像は撮影角度が異なるのが常なので,認証にあたっては耳介の撮影角度差の影響を検討する必要がある.研究代表者は登録データが1枚しかない場合でも別姿勢のGabor特徴を推定し,これを判別分析に基づく学習機に学習させ認証を行う新手法を提案した(渡部他,映情学誌,65,7,1016-1023,(2011)).この研究を発展させて,推定アルゴリズムの改良によるロバスト性向上の可能性と限界を見出し,防犯カメラ画像による耳介認証の実用化を目指している. 交付申請書では,1,2年次に概ね「1.推定アルゴリズムの改良によるロバスト性向上の可能性と適用限界」の研究を,3年次に概ね「2.角度変化にロバストな耳介の特徴点探索アルゴリズム」の研究を行う計画を申請している.そして1,2年次研究の「1.推定アルゴリズムの改良によるロバスト性向上の可能性と適用限界」の具体的内容として,「1-(a) 特徴点の検討」,「1-(b) 法線モデルの検討」,「1-(c) 漸近展開精度向上の検討」,「1-(d) 特徴量強調方法の検討」,「1-(e) 限界の調査」,「1-(f) 防犯カメラでの確認」の6項目を申請している.昨年度の研究実施状況報告書では,次年度に研究することとした1-(a), 1-(c), 1-(d)の3項目の他,初年度に進展があり更に研究の発展が見込まれた1-(b), 1-(f)の2項目を加えた5項目を調査する旨申請した.この5項目のうち4項目の研究について具体的な進展があり,昨年度は9件の国内学会発表と3件の国際会議論文(特別講演を1件含む)を公表した.
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