研究課題/領域番号 |
24500262
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
岡林 繁 名城大学, 都市情報学部, 教授 (20278328)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 自動車 / 表示装置 / ヘッドアップディスプレイ / オーグメンテッドリアリティ / 作動記憶 / 探索応答時間 / ナビゲーション / 照合 |
研究実績の概要 |
今年度は,従来までの知見・結果に基づいて,研究全体を見直し蓄積した知見と論理のフローを,これまでの客観的データと突き合わせ吟味を行った.これに伴い結果の補強・補完のため,被験者数増しと共に,詳細なより実験評価を行った. (1)《知見の現実への適応性》他の自動車用表示装置に比較して,情報が素早く認知できるという点でのAR(Augmented Reality)表示装置優位性は,小さな画角の表示条件から,自動車に用いられるウインドシールド全面をカバーする画角の表示条件まで,すべての条件で保たれることが明らかにした. (2)《AR優位性の保存》上記優位性は,①AR表示,②表示像距離の長いヘッドアップディスプレイ,③現用ヘッドアップディスプレイ④従来インストルメントなどへ装着された表示装置の順で,この順序も画角の表示条件の大小に依存しないことが分かった. (3)《メンタルエクスパンションの工学的意義》優位性の分析をおこなった結果,視線移動量の大小,目の調節量の大小,さらに加え新たに,参照表示エリアと前景探索エリアとの画角比が関連していることが分かった.この事実は,工学的にAR表示装置を実現するとき,前景に表示像を完全に重畳することの重要性を示している.参照表示エリアと前景探索エリアとの画角比の関連実験では,ドライバが参照情報のイメージサイズを,探索情報の表示エリアに,重畳し探索照合するという仮説が,別途角度依存実験で確認検証された. (4)《知見の公表》これらの現象をイメージエクスパンションと本研究では呼び,作動記憶の一つの機能と考えた.これらの結果は,HI学会,映像情報メディア学会,自動車技術会(いずれも査読あり)に投稿審査中.また,最終解析結果は現在まとめ別途投稿準備に入っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
被験者は多くの場合学生に依存するが,実験に適する自動車免許を有し,各人の視覚諸特性や予備実験による選別に適不適が存在するため当該学生の選択には若干予想以上の時間を要している.実験推進者の一人である,博士後期課程修了者(本年度特任助手)の人事異動による所属機関の変更があり実験速度実験遂行速度に影響を与えた結果と考えている.
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画に則り,現在進行している実験の知見をまとめ,他学会等で議論のあった研究の一部に若干の補足を行い全体を補強したい.また,次年度は最終年度となるため,年度末に向け,知見の公表・発表,投稿審査等の費用,討議会出張費用等全体計画の中で効率的に執行していきたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
被験者は多くの場合学生に依存するが,実験に適する自動車免許を有し,各人の視覚諸特性や予備実験による選別に適不適が存在するため当該学生の選択には若干予想以上の時間を要し予算執行が若干遅れている.また,実験推進者の一人である博士後期課程修了者(本年度特任助手)の人事異動により所属機関の変更があり,従来必要でなかった出張予算執行等を次年度状況に考慮して,本年度は若干抑制的に執行した.
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次年度使用額の使用計画 |
実験担当者の人事異動に伴う旅費などが新たに発生するが,現在進行している実験の知見をまとめ,他学会等で議論のあった研究の一部に若干の補足を行い全体を補強したい.また,次年度は最終年度となるため,年度末に向け,知見の公表・発表,投稿審査等の費用,討議会出張費用等全体計画の中で効率的に執行していきたい.
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