1. ひきつづき,居間やオフィスの椅子にセンサを組み込んで,衣服を着用したままで,心拍・呼吸を計測する手法について検討した.呼吸は,椅子に装着したエアバッグの圧力変化で捉える手法で,エアバッグの圧力と背中に当たる位置を調節すれば計測できることを確認した.心拍は容量結合型電極を用いた心電図による手法に絞り,エアバッグの表面に貼った導電性テープを用いた予備実験では,計測可能な人と計測できない人がいた.研究協力者より,車のシートに装着してドライバの心電図を計測する目的で開発中の静電容量を大きくした容量結合型電極シートの提供を受け,背面と座面に複数の電極を配置し,そのうちの2つの電極から得られる心電図を計測するようにし,計測状況の改善確認した.インフォームド・コンセントを得た健常男子学生8名を対象に,PC作業を模擬した実験を実施し,すべての参加者でいずれかの電極ペアで大きく動いたとき以外は良好に計測できることを確認した. 2. 視線停留,眼球運動の頻度,輻輳角,瞳孔径と,集中度の関連を調べたが,作業内容の影響が大きいこと,瞳孔径は環境の照明状態が同じであっても,画面に表示されるコンテンツの輝度の影響が大きく,利用しにくいことを確認した.瞬目による覚醒状態の評価が可能であることを確認した. 3. 接触型のセンサを用いて平成25年度に取得した種々のPC作業中の8名の実験データを用いて,集中度によって変化する指標を再検討し,平均心拍,心拍変動低周波成分,心拍変動高周波成分,呼吸ピーク周波数,呼吸不安定性(呼吸ピーク周波数と重心周波数の差の絶対値)を選定し,これらの指標に対し主成分分析を施し,得られた第1成分により,集中・非集中状態を分離できることを示した. なお,本研究に関わる実験は,大阪工業大学ライフサイエンス実験倫理委員会の審査を経て,大阪工業大学学長の承認を得て実施した.
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