研究課題/領域番号 |
24500265
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
風井 浩志 関西学院大学, 理工学研究科, 専門技術員 (80388719)
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研究分担者 |
片寄 晴弘 関西学院大学, 理工学部, 教授 (70294303)
藤澤 隆史 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (90434894)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | エンタテインメント |
研究概要 |
平成24年度の研究の第一の目的は、複数人参加型テレビゲームにおける、他参加者による協力的プレイが対人認知に与える影響を実証することであった。市販の複数人参加型テレビゲームのゲームデザインを検討した結果、協力的プレイが認識され易いゲームデザインの要因として、「他参加者による協力的プレイの発生が、視覚エフェクトや効果音によって認識し易くなっていること」、「協力的プレイが、得点やライフゲージが変化するという一種の数値形式で認識できること」などが考えられた。これらの要因を満たすゲームを選定し、協力的プレイによる対人認知への影響を実証する実験を行った。実験では、他参加者が意図的に協力的プレイを実行する条件と協力的プレイを実行しない条件を設定し、両条件間で他参加者に対する人物評定を比較した。その結果、意図的に協力的プレイを実行する条件の方が対人認知が好感的になることが示された。この結果に加えて、対人認知の変容に対して、「プレイヤ(評定者)自身のゲームに対する熟達度」、「プレイ回数」が影響することが示された。 他方、いくつかのテレビゲームにおいては、プレイヤは自分自身が操作するキャラクターのデザインを変更することが可能である。他参加者との接触が前提となっている場合、プレイヤがゲームプレイの目的や他参加者に応じて、プレイ態度のみならず、自分自身が操作するキャラクターのデザインも変更することが考えられる。キャラクターデザインは対人認知に影響することが考えられるので、平成24年度の第二の研究として、この点を検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
課題とするテレビゲームへの習熟度を対人認知の要因として考慮すべきということが示唆され、該当する実験参加者の動員のコストが予測を上回ったために、当初の計画よりもやや遅れることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、後半は対人認知形成の変化の原因となるイベント(得失点に関わる対戦相手のプレイ、など)の同定を試みる。これらのイベントの同定には、質問紙法による主観データに併せて、心拍変動や皮膚電気活動などの生理反応を客観的データおよび時系列データとして利用することを試みる。 平成25年度の前半は、平成24年度に引き続き、対人認知の変化が生じやすいゲームデザインを有するゲームの選定と対人認知の変化の要因を検討する。これによって平成25年度後半の実験で利用するゲームを選定し、平成25年度後半の実験遂行の効率化を図る。 平成24年度で発覚した実験参加者動員コスト下げるために、実験参加者の交通の利便に合わせて、実験実施場所を変更する。また、実験実施場所の変更・移動に対応するために、携帯可能な生理反応計測機器を購入する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の研究計画を実行する中で、課題とするテレビゲームへの習熟度を対人認知の要因として考慮すべきということが示唆され、実験参加者の動員コストが計画当初の予測を上回ることが判明した。したがって、平成24年度に実施する実験も含めた研究全体(3年間)での実験参加者の動員コストを下げる必要が生じた。この時点で平成24年度研究費からの支出を止め、以下の3点を考慮し、「次年度使用額」を平成25年度請求研究費と合わせて使用するように使用計画を再調整した。 (1) 研究全体(3年間)での実験参加者の動員コストを下げる方策として、平成25年度から実験参加者にとって利便性の高い実験実施場所を確保する。(2) 平成24年度に計画していた実験の一部を平成25年度の前半に実施する。(3) 平成25年度に計画している生理反応計測実験を実験実施場所の移動に対応できるようにする。 上記(3)を満たすために、計画当初に平成25年度に計上していた「生体電極セット」を「生体信号収録装置」に変更し、この装置の購入費用の一部として「次年度使用額」を充てる。その他の主な費用として生理反応計測実験補助者への謝金を計上する。
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