研究課題/領域番号 |
24500265
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
風井 浩志 関西学院大学, 理工学研究科, 専門技術員 (80388719)
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研究分担者 |
片寄 晴弘 関西学院大学, 理工学部, 教授 (70294303)
藤澤 隆史 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 特命助教 (90434894)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 対人認知 |
研究実績の概要 |
平成26年度の研究の目的のひとつは、平成25年度に引き続き、時系列コンテンツ課題(テレビゲーム・プレイ、動画視聴など)中の事象(得点、失点など)による心理的変化をとらえるための生体反応の解析手法を検討することであった。平成25年度と同様に、情動を喚起し易い時系列コンテンツとして動画を使用し、生体反応として特に心拍変動に注目した。しかし、使用した動画の内容に応じて主観的評価は変化するにもかかわらず、心拍数変動は主観的評価との関係性を示さなかった。交感神経活動の指標とされている「LF/HF」(心拍数変動の低周波数成分と高周波数成分との比)も、動画に対する主観的評価との関係性を示さなかった。 平成26年度の2つ目の研究では、コンピュータ・ネットワークを介した非対面状況のコミュニケーションを通じて形成される対人認知の要因のひとつとして、相手の行動に対する反応の迅速性に注目した。この要因を検討するために、国内で最も普及しているSNS (ソーシャルネットワーキングサービス) を模したシステムを作成し、そのSNSの送受信画面上に簡潔な返事("OK"、"No" など)をワンクリックで送信できるアイコンを付加した効果を検討した。システムの評価実験の結果、アイコンを付加したシステムに対して、「やりとりしやすくなる」や「コミュニケーションがうまくいった」という評価を得た。この結果は、相手の行動に対して迅速に反応することが良好な対人認知の形成の要因となり得ること、したがって、迅速な反応を可能とするインタフェースの重要性を示すと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成26年度中に、研究課題に適したコンテンツ(ゲームタイトル等)を選定し、主観的評価と生体反応との対応関係を見出し、その関係性を用いてゲームプレイ中に心理的変化が生じたポイントを推定する実験を実施する予定であった。しかし、市販のコンテンツを使用した実験では、主観的評価と生体反応との対応関係を見出せない可能性が高まった。そこで、計画を変更し、生体反応解析手法の再検討および研究課題に適したゲーム・コンテンツ作成に取り組んだため、実験の実施が先送りとなった。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に引き続き、主観的評価と生体反応の変化との対応関係の検討を行う。旧来の生体反応解析手法に加えて、ローレンツプロット解析による心拍数変動の解析を試みる。並行して、より大きな心理的変化と生体反応を惹起する実験用コンテンツの選定を進めていく。今年度の前半に解析手法と実験用コンテンツを決定し、後半には生体反応から心理的変化が生じたポイントを推定する実験を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
生体反応解析の検討に時間を費やした結果、平成26年度に予定していた実験が平成27年度に先送りになり、その費用を繰り越すこととなった。
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次年度使用額の使用計画 |
実験(テレビゲームプレイ中の心理変化と生体反応計測)の費用として、当該金を使用する。実験参加者数の目安として20名程度の実験を、2回実施する予定である。
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