研究課題/領域番号 |
24500267
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京都立産業技術高等専門学校 |
研究代表者 |
山本 昇志 東京都立産業技術高等専門学校, ものづくり工学科, 准教授 (70469576)
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研究分担者 |
津村 徳道 千葉大学, 融合科学研究科(研究院), 准教授 (00272344)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 違和感 / 判断基準 / 画像処理 / アルゴリズム / レタッチ / 視線検出 / 熟練作業 / 色調整 |
研究概要 |
本研究は視覚から得られる情報のうち、違和感に注目して画質の品質判断における基準を定量化する研究である。この熟練作業者の直観的な判断能力は経験に基づくものが多く、コンピュータ等の計算機で同等の判断を行うことは難しい。しかしながら、熟練者の判定基準とプロセスを分解すると、意外に単純なパターンマッチングや環境を意識しながらの補正など、アルゴリズムとして形式化できる部分が存在する。そこでH24年度の研究では画像のレタッチ作業における熟練者と未経験者の注目点の違いを測定し、不要物の除去及び色調整作業における判断基準の違いについて評価を行った。評価画像としては調整が非常に難しい人物の顔の画像を用い、各被験者が最適と考える不要物の除去及び色調整を実施してもらう。実験中、被験者の注目点位置は視線検出装置で、色調整量はAdobe社PhotoshopのSDKプログラムで所得を行った。まず不要物の除去については熟練者と未経験者で顕著な違いは見い出せなかった。人間の顔を観察する行為はレタッチ未経験者でも日常実施しており、脳の中の平均的な記憶と不一致な部分が注目される。そのため、不要物の除去については単純なパターンマッチングで対応することが可能である。ただ、実際に修正する部分について、熟練者はほくろやしわなどの自然な不要物は個人の特徴として活かした修正をするなど、経験や個人の好みによる調整段階が作用していることが明らかになった。一方、色調整作業については未経験者が顔の肌部分のみを観察しながら調整を行っているのに対して、熟練作業者は周囲の色、特に基準となりうる白い物体や青空などと比較しながら色調整を行うという違いが明確となった。この結果をさらに分析して、どのような位置との相対比較で調整しているかを今後明らかにしていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、プロフェッショナルな写真家に顔画像を撮影してもらい,そこからレタッチ修正する過程を記録することができた.またその作業分析からレタッチ修正におけるポイントを絞り込み,別途用意された修正記憶装置で,熟練者と未熟練者それぞれの注目点とレタッチ動作を記録・分析することができた.
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今後の研究の推進方策 |
本年度は修正や不要物除去などのレタッチ作業について分析を行ったが,次年度は判定基準を明確化すべく,思考錯誤ができるレタッチシミュレータを構築する予定である.このシミュレータの構築には形状やテクスチャの正確なデータが必要不可欠であり,コンピューショナルフォトグラフィ技術を用いて,効率良い開発に努めていく.
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次年度の研究費の使用計画 |
全体額については変わりないが,研究を加速するため,海外研究機関で推進する機会を得た.そのため,研究経費の費目配分で物品費が減り,旅費が増加する.(300万円以下なので申請は不要)
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