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2012 年度 実施状況報告書

快・不快情動が操る嗅覚表象の単離脳イメージング:行動解析との融合的アプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 24500269
研究種目

基盤研究(C)

研究機関独立行政法人産業技術総合研究所

研究代表者

梶原 利一  独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (60356772)

研究分担者 冨永 貴志  徳島文理大学, 薬学部, 准教授 (20344046)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード嗅覚 / 神経活動イメージング / 記憶 / 情動 / 海馬 / 扁桃体 / モルモット
研究概要

本研究では,“こころの動き”が,知覚感受性や記憶の程度に影響を与える脳内メカニズムを明らかにする事を目的とした.具体的には,報酬や罰を伴う嗅覚学習行動が,辺縁系皮質の神経ネットワークの,どの部位に,どのような機能変化を生じさせるのか,その機能変化は海馬や扁桃体の情報伝達パターンにどのような影響を及ぼすのかという問題を明らかにする為に①条件付け学習モデル動物の単離脳を用いたex vivo 脳機能解析システムを新たに構築し,これにより②情動や報酬予測行動を支える嗅覚神経回路の探索と動作機構の解析を行うことを,目指した.平成24年度は,①の課題については,行動実験システムの構築に取りかかった.嗅覚学習モデル動物作製にむけて,モルモット用のオペラントチャンバーを試作した.②の課題については,情動を司る扁桃体が海馬周辺皮質への信号伝達へ及ぼす影響についての神経回路機構を明らかにする目的で,脳スライスの膜電位イメージング解析を行った.嗅内皮質を中心とした皮質―海馬および扁桃体間神経連絡を保持した脳スライスを用いて繰り返し入力に対する応答変化パターンを,膜電位イメージング法により解析した.その結果,40Hzで嗅周囲皮質36野を刺激すると,35野に持続性の神経興奮現象が認められた.持続性の神経興奮現象は,35野において扁桃体からの入力により制御を受ける可能性が過去の研究から示唆されているが,その神経機構の詳細は謎に包まれている.我々は,35野の神経活動伝播制御機構に緩やかに不活性化するカリウム電流が関与するという仮説を立て,その検証を開始した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

申請時点では,研究業務へエフォートの大部分を割く予定であったが,24年4月1日付人事異動に伴い,研究所の運営業務に時間を割かれることになった.更に,動物飼育施設の集約化に伴い,実験室の移動も,行われた.その為,当初予定していた単離脳標本実験システムの構築が,遅れることになった.25年度には,やや遅れている研究パートについて,一刻も早く進展させるように努める.

今後の研究の推進方策

試作したオペラントチャンバーを改良しつつ,嗅覚学習行動実験を継続する.また,準備が遅れている単離脳標本実験系の構築について,急ピッチで進める.特に,多点集合電位計測システムの構築に力を注ぐ.その次に,膜電位イメージング解析法を組み合わせることによって,脳全体の活動を視覚的に捉えられるシステムを完成させる.嗅覚学習を課したモルモットから単離脳を作成し,完成させたシステムを適用する.そして,嗅覚神経ネットワークの活動伝播パターンにおいて,学習の影響により機能的な変化を及ぼす部位を同定する.また,脳スライスを用いて,嗅周囲皮質における神経興奮伝播制御機構についての研究を引き続き行う.

次年度の研究費の使用計画

単離脳標本実験系のうち,多点集合電位計測システムの構築に必要不可欠な,データ取り込みシステムを購入する.行動実験用システムを改良する為の部品を購入する.研究分担者との共同実験の為,つくばー高松間の出張費用に使用する.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Suppression of a slowly inactivating potassium current enhances the interaction between the perirhinal cortex and entorhinal-hippocampal neuronal activities2012

    • 著者名/発表者名
      Tomianga T, Tominaga Y and Kajiwara R
    • 雑誌名

      Neurosci Res Suppl

      巻: 72 ページ: G10-2

  • [雑誌論文] Transmission of neuronal activity between the perirhinal cortex and entorhinal- hippocampal cortex is controlled by slowly inactivating potassium conductance: A VSD imaging study2012

    • 著者名/発表者名
      Tomianga T, Tominaga Y and Kajiwara R
    • 雑誌名

      Neuroscience Meeting Planner

      巻: 2012 ページ: 148.02.

  • [学会発表] Suppression of a slowly inactivating potassium current enhances the interaction between the perirhinal cortex and entorhinal-hippocampal neuronal activities.

    • 著者名/発表者名
      冨永貴志、冨永洋子、梶原利一
    • 学会等名
      第35回日本神経科学大会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場(愛知県名古屋市)
  • [学会発表] Transmission of neuronal activity between the perirhinal cortex and entorhinal-hippocampal cortex is controlled by slowly inactivating potassium conductance

    • 著者名/発表者名
      Tomianga T, Tominaga Y and Kajiwara R
    • 学会等名
      Neuroscience2012
    • 発表場所
      Ernest N. Morial Convention Center.(NewOrleans, USA)

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公開日: 2014-07-24  

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