研究課題/領域番号 |
24500272
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
安信 誠二 筑波大学, システム情報系, 教授 (00241795)
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研究分担者 |
澁谷 長史 筑波大学, システム情報系, 助教 (90582776)
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キーワード | ファジィ理論 / 人工知能 / ユーザインタフェース / 制御工学 |
研究概要 |
本研究では、ソフト・コンピューティング技術を基礎とするソフト学習制御(ファジィ制御、知的制御、機械学習)の有用性を検証すると共に、近年のデジタル計算機の高性能・高度化を活用して、盲導犬などによる歩行案内を具体的イメージとして、被支援者の固有の目的を柔軟に学習し、優しく配慮した知識を組込める、ファジィ支援情報の提示による知的協調案内方式の開発を進めている。提案方式の有効性を実証するため、1/10 スケールの電動車にファジィ支援情報の提示機構を搭載した「人に優しい知的歩行案内ロボット」を開発し、被支援者に優しい案内の実現を図っている。 H25年度は、時間と空間に密接に関連している案内知識を計算機で実行する「時空ファジィ推論」の研究を進めると共に、被支援者の疲労度や安心感、周囲環境を考慮して適切な歩行案内を行う方式を提案し、有効性を確認した。被支援者の意図を考慮し、経由地点の変更など柔軟な対応が可能な支援システムを開発し模擬実験を行った。 また、主に研究分担者が中心となり、食堂などの営業時間や道の混み具合を考慮して、柔軟な案内知識を獲得できる方式を検討した。営業時間を考慮して柔軟な案内知識を獲得できる方式として、1日や1年などを単位とする時間の周期性を利用することにより、時刻と場所の両方に応じて最適な行動決定を行うための強化学習方式を検討した。道の混み具合を考慮して柔軟な案内知識を獲得できる方式として、「1時から2時の間は、道Aは混み、道Bは空いている」といった人間の事前知識を利用することにより、時刻に応じてダイナミクスが変化する環境において最適な行動決定を行うための強化学習方式を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ファジィ支援情報の利用について、国際会議において、被支援者の疲労度を考慮した案内の考え方である「An Intelligent Guide Vehicle by Fuzzy Guide Target Considering Tiredness」、および国内会議で、被支援者の固有の意志に柔軟に対応し配慮する考え方として車の駐車運転を例に取り上げ「運転手の意図を考慮した知的駐車支援システムの提案」として発表を行い、関連研究者からも評価された。また、従来からの研究テーマについても、ここで開発する案内システムの要素として役立つよう、機能を拡充して研究をまとめると共に、今年度、雑誌論文として掲載2件、国際会議での発表4件、日本語での学会発表5件を行い、議論を進めている。 また、案内知識の強化学習による獲得に関しては、道の混み具合を考慮して柔軟な案内知識を獲得できる方式について、「事前知識を反映した状態遷移確率推定により環境変化に適応する強化学習」を題目として国内会議において発表を行い、関連研究者と議論を行った。また、営業時間を考慮して柔軟な案内知識を獲得できる方式について、雑誌論文への投稿(査読中)を1件行った。案内知識の強化学習による獲得に関する要素技術についての研究として、国内発表を2件行い、関連研究者との議論を行った。
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今後の研究の推進方策 |
研究の最終年度として、これまでに構築した、環境認識系を組み込んだハードウェアと、人間にわかりやすく優しい支援情報の提供を行うソフトウェアシステムを基盤として、研究成果の取り纏めを進める。また、機械学習によって案内知識を獲得するシステムの高度化と案内知識に基づいて知的制御を行うなど、これまでに研究を行ってきた要素をあわせて、ファジィ案内歩行システムを構築する。 1/10 スケール電動車両を用いた「知的歩行案内ロボット」での実証実験により、提案する知的協調案内方式の有効性を評価する。
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