• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

多彩な現象を生成できる動的バイナリーニューラルネットの解析と学習

研究課題

研究課題/領域番号 24500284
研究種目

基盤研究(C)

研究機関法政大学

研究代表者

斉藤 利通  法政大学, 理工学部, 教授 (30178496)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードニューラルネットワーク
研究概要

動的バイナリーニューラルネット(DBNN)の学習とその応用に関して研究し、主に以下のような結果を得た。
(1) 2層のDBNNに対し、相関学習に基づく学習アルゴリズムを考案し、それが適用できる教師信号のクラスを明確にした。教師信号が1つの周期系列である場合について、その銘記特性、銘記した周期系列の安定性を検討した。応用として、基本的なDC-ACインバータの制御信号の学習を考察し、信号が銘記でき、銘記された信号が自動的に安定となることを確認した。
(2) 3層のDBNNに対し、遺伝的アルゴリズムに基づく学習アルゴリズムを考案した。同アルゴリズムでは、DBNNの中間層が大きければ、原理的にはどのような教師信号も学習できる。従って、適切な学習によってDBNNの構造をいかに簡素にできるかが重要である。この問題を一般的に高圧するのは困難であるので、簡単のため、教師信号が1つの周期系列である場合について、銘記した周期系列の安定性を検討した。応用として、基本的なAC-ACマトッリクスコンバータの制御信号の学習を考察した。この信号の銘記は、インバータの制御信号よりはるかに困難であるが、比較的簡素な構造のDBNNでその銘記が可能であり、銘記された信号が自動的に安定となることを確認した。
(3) DBNNの次元がそれほど大きくない場合について、銘記した教師信号とその安定性を視覚化するために、DBNNの動作を、グレーコードに基づいた離散的な写像(Gmap)に帰着させる方法を考案した。Gmapを様々なDBNNに適用し、その効果を確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は学習アルゴリズムの構築と、その抽象的な例題による考察を目的としたが、以下の点で発展がみられた。
(1) パワーエレクトロニクスへの応用.
所望の周期解を銘記し、銘記した周期解が安定にできるアルゴリズムを開発した。同アルゴリズムの性能を一般的に考察することは困難であるので、意味のある例題として、パワーエレクトロニクスにおける基本的な回路である、DC-ACインバータとAC-ACマトリックスコンバータの基本的な制御信号を教師信号とする問題を考案した。
基本的は数値実験によって、教師信号の銘記と安定化が確認できた。これは、本研究を工学的に意義のある応用に発展させる第一歩になると思われる。
(2) 学習結果を視覚化し、DBNNの性能を評価する道具としてGmapを導入した。そして、このGmapを様々なスパイク列を生成する離散力学系の研究と融合させることができた。Gmapの動作の基本分類と、現象の特徴量を整備した。これは、本研究の対象を広げていく端緒となると思われる。

今後の研究の推進方策

1. パワーエレクトロニクスへの応用研究の発展。
DBNNとその学習を適用する対象を、様々な回路に広げるべく、学習アルゴリズムを発展させる。適用可能な回路について、信号のロバスト性や、回路のエネルギー変換効率などを解析する。基本回路を試作し、アルゴリズムの有効性をハードウエア実験で確認する。
2. Gmapの解析:Gmapの呈する定常状態と過渡現象を詳細に分類し認識するための、特徴量を導入する。その特徴量を用いて、定型的な例題の現象を解析する。多種多様なスパイク信号生成問題への応用も検討する。

次年度の研究費の使用計画

謝金:学習アルゴリズムの改良、応用例の評価、等に関するソフトウエア開発などのために使用する。また、パワーエレクトロニクスへの応用に関して、基本的な回路を実装し、その特性を測定するための、実験補助に使用する。
海外旅費:DBNNの学習を、AC-ACマトリックスコンバータの基本的な制御信号に応用した研究成果を国際会議で発表する予定であり、そのために使用する。
国内旅費:DBNNの学習の改良、応用、Gmapの解析法の開発、等に関する成果を、学生が国内の学会で発表する予定である。そのための交通費、宿泊費として使用する。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Analysis of Digital Spike Maps based on Bifurcating Neurons2012

    • 著者名/発表者名
      N. Horimoto and T. Saito
    • 雑誌名

      NOLTA, IEICE

      巻: 3 ページ: 596-605

    • DOI

      10.1588/nolta.3.596

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Classification Function of Radial-Basis Adaptive Resonance Theory Map and Its Application2012

    • 著者名/発表者名
      Y. Enosawa, H. Matsushita, Y. Tanaka, N. Kuji and T. Saito
    • 雑誌名

      Journal of Signal Processing

      巻: 16 ページ: 307-310

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Dynamic Binary Neural Networks and Storage of Control Signals for Switching Circuit2012

    • 著者名/発表者名
      J. Moriyasu, R. Kouzuki and T. Saito
    • 雑誌名

      Proc. IEEE APCCAS

      巻: 1 ページ: 491-49

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Basic Analysis of Digital Spike Maps2012

    • 著者名/発表者名
      N. Horimoto, T. Ogawa and T. Saito
    • 雑誌名

      LNCS, Springer

      巻: 7552 ページ: 161-168

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Bifurcating Neurons with Filtered Base Signals2012

    • 著者名/発表者名
      S. Kirikawa, T. Ogawa and T. Saito
    • 雑誌名

      LNCS, Springer

      巻: 7552 ページ: 153-160

    • 査読あり
  • [学会発表] スパース結合動的バイナリーニューラルネットワークの学習とその応用2013

    • 著者名/発表者名
      森安淳吾, 上月良太, 斎藤利通
    • 学会等名
      電子情報通信学会NC研究会
    • 発表場所
      玉川大学(東京都)
    • 年月日
      20130313-20130313
  • [学会発表] 多彩なスパイク信号を呈するデジタル力学系解析のための基本特徴量について2013

    • 著者名/発表者名
      堀本成俊, 斎藤利通
    • 学会等名
      電子情報通信学会NC研究会
    • 発表場所
      北海道大学(北海道)
    • 年月日
      20130125-20130125
  • [学会発表] 動的バイナリーニューラルネットワークの進化的学習とパワーエレクトロニクスへの応用2013

    • 著者名/発表者名
      上月良太, 斎藤利通
    • 学会等名
      電子情報通信学会NC研究会
    • 発表場所
      北海道大学(北海道)
    • 年月日
      20130125-20130125
  • [学会発表] 動的バイナリーネットワークの応用:マトリックスコンバータのスイッチ信号の学習2012

    • 著者名/発表者名
      中山雄太, 斎藤利通
    • 学会等名
      電子情報通信学会NC研究会
    • 発表場所
      豊橋技術科学大学(愛知県)
    • 年月日
      20121212-20121212
  • [学会発表] 動的バイナリーニューラルネットの学習と応用2012

    • 著者名/発表者名
      上月良太, 斎藤利通
    • 学会等名
      電子情報通信学会NC研究会
    • 発表場所
      九州工業大学(福岡県)
    • 年月日
      20121005-20121005
  • [備考] 非線形回路工学研究室

    • URL

      http://www.nonlinear.k.hosei.ac.jp/

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi