研究課題/領域番号 |
24500284
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
斉藤 利通 法政大学, 理工学部, 教授 (30178496)
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キーワード | ニューラルネット |
研究概要 |
動的バイナリーニューラルネット(DBNN)の学習とその応用に関して研究し、主に以下のような結果を得た。 1.3層のDBNNに対し一つの周期軌道を銘記させる学習法として、相関学習に基づく方法と、遺伝的アルゴリズム(GA)に基づく方法を考察した。学習結果を視覚化する方法として、DBNNの動作を格子点上の写像(Gmap)と結びつける方法を考案した。典型的な例題に関する数値実験を行い、教師信号が銘記でき、その学習過程を視覚化できることを確認した。 2.銘記させた教師信号の安定性について考察し、結合のスパース性と安定性の関係の概要を解明した。これに基づき、遺伝的アルゴリズムを用いて結合のスパース性を変化させ、銘記させた周期信号の安定性を制御する方法を考案した。典型的な例題に関する数値実験を行い、安定性が向上する場合のあることを確認した。 3.工学的応用として、パワーエレクトロニクスにおける代表的な回路である、AC/DCレギュレータ、DC/ACインバータ、AC/ACマトリックスコンバータの制御信号に対応する周期解の埋め込みとその安定化について考察した。簡素な周期信号は、DBNNに埋め込むことができ、スパース化によってその安定性を向上させることができることを確認した。 4.研究の一般化のために、Gmapの呈する過渡現象と定常状態に対する基本的な特徴量を考案した。区分線形特性を有するスパイキングニューロンの関係した例題等を考察し、基本的ではあるが、今までにない現象の分類を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一般的な動作解析と一般的な学習理論の構築は困難であるので、工学的に意義のある対象に的を絞ることにした。具体的には、パワーエレクトロニクスにおける代表的なスイッチング電源(AC/DCレギュレータ、DC/ACインバータ、AC/ACマトリックスコンバータ)の制御信号に対応する教師信号を対象とした。この教師信号には具体的な意味があり、的の絞れた具体性のある考察が可能であり、研究を進める上で好都合であった。
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今後の研究の推進方策 |
1) 学習法については、おおまかな理論的枠組みと数値実験はできているので、できるだけ汎用性のある学習理論構築の基礎固めを行いたい。 2) 安定化については、結合の変化とGmapの形状の変化を解析し、効果的な安定化アルゴリズムの構築を目指したい。 3) 応用については、複数の例題回路の制御信号に対応する教師信号の銘記と安定化に成功しているので、再構成可能な制御信号合成回路構成の基礎固めを行いたい。
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