研究は(1)アルゴリズム、(2)ハードウェアアーキテクチャ(3)アプリケーションの三つの観点から進めた。 (1)アルゴリズム。動的輪郭抽出(Snakeアルゴリズム)をCAM2上に実装した。実装のもととなるアルゴリズムはすでに先行研究としてPixel Level Snakes の名で提案されているものを元に、処理全体をセルラオートマトン(CA)で実現するアルゴリズムを提案した。提案では、輪郭を動かすためのルールを五つと輪郭を適正に保つための追加のルール二つという簡素なルール群で実装をおこなった。動的輪郭法として十分な性能を有することが確認できた。また、画像サイズに依存せず処理時間が並列化の恩恵を受け一定となることが確認できた。 (2) ハードウェアアーキテクチャ。検討した各種アルゴリズムを現有するCAM2チップ搭載ボードへ実装、評価する取組みを通じ、CAM2チップの構成が固定化されていることによる現有ハードウェアアーキテクチャの限界を明らかにした。この限界を打破するため、FPGAによる次世代CAM2チップの検討を行い、CAM2 on FPGAのIP化を実現するとともに、各種アルゴリズム、アプリケーションを実装、評価可能なハードウェアプラットフォームを開発した。 (3) アプリケーション。以下のアプリケーションを提案し成果を得た。①モルフォロジカルパターンスペクトラム。改善検知への適用を行い、画素全体の0.0015%の改ざんも検知することができた。②画像の方向性を加味したモルフォロジカルウェーブレット変換画像圧縮に適用し通常のモルフォロジカルウェーブレット変換と比較して約82%データを圧縮する事ができた。③ハードウェアゆらぎを出力する連想メモリ。CAM2チップが搭載されたシステムを適用するためにLSIのばらつきを利用してゆらぎを出力できる連想メモリを開発した。
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