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2012 年度 実施状況報告書

移動ロボット向けソフトコンピューティングライブラリの開発

研究課題

研究課題/領域番号 24500288
研究種目

基盤研究(C)

研究機関甲南大学

研究代表者

田中 雅博  甲南大学, 知能情報学部, 教授 (70163574)

研究分担者 和田 昌浩  甲南大学, 知能情報学部, 准教授 (80330405)
梅谷 智弘  甲南大学, 知能情報学部, 准教授 (10397630)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード移動ロボット / ソフトコンピューティング / RTミドルウェア
研究概要

平成24年度は、初期位置推定、自己位置推定、路面検知、GPS、エンターテイメント、遠隔操作、パンチルト雲台によるカメラ視点制御、ファジィ制御による対象追跡、3次元位置合わせのシミュレーションなどを実施した。
初期値推定は、DEを用いて行った。自己位置推定は、センサからの信号を画像にし、パーティクルと環境マップからなる推定環境とのマッチングを画像レベルで行う手法を採用した。この方法だと、近年盛んに使われている画像処理ライブラリであるOpenCVが使えるので、多くの技術者にとって親和性が高いアルゴリズムとなる。ただし、まだ良い計算成果が得られていない。路面検知はデプスセンサを用いたアルゴリズムを開発し、非常に良い結果が得られている。姿勢推定アルゴリズムを内在しているため、ロボットが動く際にセンサががたついても、路面上の障害物や穴など、高低差があるものをリアルタイムに検出できる。このシステムは、移動ロボットのみならず、視覚障がい者の歩行やシニアカーなどに装着する安全装置にも使える。GPSは、我々が使っているものの精度を調べた。遠隔操作は、ネットワーク越しに画像を送り、それを見て遠隔操作する限界を確認できた。カメラ視点制御は、移動時に前後に揺れる特性のあるSegwayRMP特有の問題を解決しようとするものである。ファジィ制御による対象追跡は画像から得られる重心位置を用いて、どれくらいの変化が得られているかを言語値で表現しようとした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本課題は、移動ロボットの様々な問題点をカバーしながら、全体としてインテリジェントな動作を実現しなければならないため、課題は多岐にわたる。初年度は、センサーから信号を取り出し、それを有用な信号に変換するという「低次の処理」に力点を置いてきたので、まだソフトコンピューティング技術を駆使するところまで行っていないが、初年度の目標である、いくつかのセンサからの信号を処理してコンポーネント化する部分については、かなり進んだ。また、特に、路面検知の問題において、センサの姿勢推定を、最適化の視点からと、推定理論の視点から、それぞれ、ニュートン法と、拡張カルマンフィルタによりロバストな処理と組み合わせて実現した点は、非常に大きな成果となった。この方法は特許申請も行っており、移動ロボットのみならず、夜間のシニアカーや自転車など、人にとって有用なシステムで実装される可能性がある、ユニークなものとなった。
RTコンポーネント化するという研究の目的については、我々が作ったコンポーネントをどれだけ汎用化させるかという検討がまだ十分に出来ていないということや、特許申請した内容を、ソースレベルで公開すべきなのかどうか、といった点など、権利の意味でも難しい問題を含んでいるため、公開はまだできていない。今後、公開してもよいと考える内容のコンポーネントから、順次、田中のホームページ上で公開を行う予定である。

今後の研究の推進方策

初年度、十分に成果の得られなかった、自己位置推定について、早急に推進していきたい。我々の自己位置推定では、レーザーレンジスキャナを用いる。その際に、環境地図にあった、所与の環境物体から反射したレーザーなのか、それとも、臨時的に人や駐車中の車などの移動物体があって、それに反射した信号なのか、といったことを、検出信号から推定して物を区別することができるというのが特徴である。そのために、混合確率密度関数モデルを用いている。今後は、それをしっかりと活かした計算モデルとプログラムを作っていくことが必須と考えている。路面検知問題では、まだ少しタイムラグがあって、大きな姿勢変化があるときに誤検知が起こることがあるので、それを克服するアルゴリズムを開発する。また、ロボットの制御そのものにおいて、ファジィ制御を導入することにしており、今年度は、その研究も開始する。認識については、高度な手法を使うことが必ずしも望ましいとは思わないが、新しい方法(考えているのは、SVMやRVMなど)を利用することも検討をしていきたい。

次年度の研究費の使用計画

計画に沿って、深度センサーを利用した路面検知制度の向上や遠隔操作に必要な無線モジュール、本研究ロボットによる認識、行動生成実験を行うためのカメラや測距センサなどの消耗品購入や、論文投稿や国内外での学会発表など成果発表に使用する.
昨年度の予算において残が出たのは主として旅費であり、別予算で外国出張に行けたという理由がある.また、本年度にそれを持ち越して、2年度以降に必要な物品を購入しようと考えている.

  • 研究成果

    (24件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (16件) (うち査読あり 15件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] A Tracking Control Method and Detection for the Surface of Road by Using a Pan-Tilt Unit on an Inverted Pendulum Mobile Robot2013

    • 著者名/発表者名
      Takayuki Matsuda, Naoki Hatakeyama, Masahiro Wada, Masahiro Tanaka, Tomohiro Umetani and Minoru Ito
    • 雑誌名

      Proc. of 2013 International Workshop on Nonlinear Circuits, Communications and Signal Processing

      巻: 2013 ページ: NA

    • 査読あり
  • [雑誌論文] State Estimation of Depth Sensor's Postures Attached to an Unstable Dynamic Object2013

    • 著者名/発表者名
      M. Tanaka
    • 雑誌名

      Proc. of the 44th Stochastic Systems Symposium

      巻: 44 ページ: NA

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A Study on Tracking Control of Pan-Tilt Unit for an Inverted Pendulum Mobile Robot2013

    • 著者名/発表者名
      T. Matsuda, M. Wada, M. Tanaka, T. Umetani and M. Ito
    • 雑誌名

      Proc. of the 44th Stochastic Systems Symposium

      巻: 44 ページ: NA

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Detection of mobile objects for outdoor navigation robots2012

    • 著者名/発表者名
      M. Tanaka, M. Wada, T. Umetani, M. Ito
    • 雑誌名

      Proc. of the 43rd Stochastic Systems Symposium

      巻: 43 ページ: 140-147

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Framework of sensor fusion network for an inverted pendulum mobile robot KoRo2012

    • 著者名/発表者名
      M. Wada, M. Tanaka,T. Umetani, T. Kuga, A. Kojima, T. Matsuda, T. Sakai, N. Adachi, K. Inaoka, M.Ito
    • 雑誌名

      Proc. of the 43rd Stochastic Systems Symposium

      巻: 43 ページ: 148-152

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Localization of Wireless LAN Client in Multistory Buildings using Strength of Received Signals in State Space Framework2012

    • 著者名/発表者名
      Tomohiro Umetani, Susumu Yamane, Tomoya Yamashita, Yuichi Tamura
    • 雑誌名

      Proceedings of the 43rd ISCIE International Symposium on Stochastic Systems Therory and Its Applications

      巻: 43 ページ: 159-164

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A differential evolution-based approach for global localization of mobile robot2012

    • 著者名/発表者名
      M. Ito and M. Tanaka
    • 雑誌名

      Proc. of the 43rd Stochastic Systems Symposium

      巻: 43 ページ: 153-158

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Sensor fusion of vision system and thermal imaging sensor for target tracking2012

    • 著者名/発表者名
      T. Umetani, N. Kuga, M. Tanaka, M. Wada, M. Ito.
    • 雑誌名

      Proc. of the 43rd Stochastic Systems Symposium

      巻: 43 ページ: 165-168

    • 査読あり
  • [雑誌論文] キャンパスロボットKoRoの開発 -要素技術の開発とデモシステムの作成2012

    • 著者名/発表者名
      田中雅博,和田昌浩,梅谷智弘,伊藤稔
    • 雑誌名

      Mem. Konan Univ., Intelli. & Inform. Ser.

      巻: 5 ページ: 93-121

  • [雑誌論文] Detection of Irregular Ground Area by Single Camera on Mobile Vehicles2012

    • 著者名/発表者名
      Masahiro Tanaka and S. Onishi
    • 雑誌名

      International Journal of Advanced Mechatronic Systems

      巻: 4 ページ: 103-111

    • DOI

      10.1504/IJAMECHS.2012.048396

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Robust parameter estimation of road condition by Kinect sensor2012

    • 著者名/発表者名
      Masahiro Tanaka
    • 雑誌名

      Proc. International Conference on Instrumentation, Control, Information Technology and System Integration

      巻: 2012 ページ: 197-202

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Global Localization of a Mobile Robot with a Laser Range Scanner in the Outdoor Environment2012

    • 著者名/発表者名
      M. Tanaka and K. Kochi.
    • 雑誌名

      ICAMechS2012

      巻: 2012 ページ: 69-74

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Detection of Mobile Objects by Mixture PDF Model for Mobile Robots2012

    • 著者名/発表者名
      Masahiro Tanaka, Masahiro Wada, Tomohiro Umetani, Minoru Ito
    • 雑誌名

      システム制御情報学会論文誌

      巻: 25 ページ: 308-315

    • DOI

      10.5687/iscie.25.308

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Location Estimation of Mobile Wireless LAN Client in Multistory Buildings using Strength of Received Signals in State Space Framework2012

    • 著者名/発表者名
      Tomohiro Umetani, Susumu Yamane, Tomoya Yamashita, Yuichi Tamura
    • 雑誌名

      システム制御情報学会論文誌

      巻: 25 ページ: 316-322

    • DOI

      10.5687/iscie.25.316

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Mobile Client Localization using Data Fusion of Wireless LAN Signals and Three-Dimensional Camera Image Sequences2012

    • 著者名/発表者名
      Tomohiro Umetani, Susumu Yamane, Yuichi Tamura
    • 雑誌名

      Proceedings of the 9th International Conference on Ubiquitous Robots and Ambient Intelligence

      巻: 2012 ページ: 240-245

    • DOI

      10.1109/URAI.2012.6462985

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Target-Tracking based on Fusion of Unsynchronized Sensor Data from Vision System and Thermal Imaging Sensor2012

    • 著者名/発表者名
      Tomohiro Umetani, Naomichi Kuga, Masahiro Tanaka, Masahiro Wada, Minoru Ito
    • 雑誌名

      システム制御情報学会論文誌

      巻: 25 ページ: 323-327

    • DOI

      10.5687/iscie.25.323

    • 査読あり
  • [学会発表] 距離センサと推定アルゴリズムの併用による検知システム2013

    • 著者名/発表者名
      田中雅博
    • 学会等名
      第57回システム制御情報学会研究発表講演会
    • 発表場所
      兵庫県民会館
    • 年月日
      20130515-20130517
    • 招待講演
  • [学会発表] 非同期センサデータ統合を利用した移動カメラによる対象物追跡2013

    • 著者名/発表者名
      梅谷智弘,臼井良,田中雅博,和田昌浩,伊藤稔
    • 学会等名
      第57回システム制御情報学会研究発表講演会
    • 発表場所
      兵庫県民会館
    • 年月日
      20130515-20130517
  • [学会発表] 無線LANの受信信号強度と疎な三次元画像特徴の情報統合を用いた複数階層環境における移動端末の位置推定2012

    • 著者名/発表者名
      梅谷智弘,山根享,田村祐一
    • 学会等名
      第13回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会
    • 発表場所
      福岡国際会議場
    • 年月日
      20121220-20121220
  • [学会発表] 複数階層環境における異種センサ情報を利用した無線LAN端末の確率的位置推定結果の統合2012

    • 著者名/発表者名
      梅谷智弘,山根享,田村祐一
    • 学会等名
      日本ロボット学会第30回記念学術講演会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター
    • 年月日
      20120918-20120918
  • [学会発表] 無線LANの受信信号強度と三次元画像の統合情報を利用した複数階層環境における移動端末の位置推定2012

    • 著者名/発表者名
      梅谷智弘,山根享,山下知哉,青森崇,高畑有紀,田村祐一
    • 学会等名
      第13回建設ロボットシンポジウム
    • 発表場所
      早稲田大学国際会議場
    • 年月日
      20120911-20120911
  • [図書] ソフトコンピューティングの基礎と応用2012

    • 著者名/発表者名
      馬場則夫,田中雅博,吉冨康成,満倉靖恵,半田久志
    • 総ページ数
      179 (31-52)
    • 出版者
      共立出版
  • [備考] 甲南大学知能情報学部 田中雅博研究室

    • URL

      http://carnation.is.konan-u.ac.jp

  • [産業財産権] 障害物検出装置2012

    • 発明者名
      田中雅博
    • 権利者名
      甲南学園
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2012-265840
    • 出願年月日
      2012-12-04

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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