本研究の目的は,大学教育における教員と図書館員の連携に関する比較研究のために,エッカード・カレッジ(Eckerd College)及びクイーンズ大学(Queen’s University)のケース・スタディによって,次の研究課題を明らかにすることである。 (1) 大学図書館が実施する学習支援や教育支援において,教員と図書館員はどのように連携しているのか。(2) 図書館員の教員に対するアプローチの中で,何が教員と図書館員の連携の構築を促す要因となっているのか。(3) 教員と図書館員の連携の構築を促す大学図書館内外の要因は何か。 ここで得られたモデルを,これまでに明らかにしたケース・スタディのモデルと比較分析することによって,大学教育における教員と図書館員の連携について,より汎用性の高いモデルの構築を目指す。 2012年度には,クイーンズ大学で訪問調査を行い,図書館関係者への聴き取り,観察調査,内部資料の収集等により関連情報を収集した。2013年度には,クイーンズ大学で収集したデータの整理および整理したデータにもとづく関連文献の調査に加えて,エッカード・カレッジの文献調査,関連する概念枠組みに関する文献調査,比較対象であるケースのデータの分析を中心に行った。2014年度には,クイーンズ大学で訪問調査と図書館および大学の関係者への聴き取り,内部資料の収集を行った。エッカード・カレッジについては,新体制になったばかりであるという理由から訪問調査がかなわなかったために,1983年から1995年まで図書館長を務めた元図書館長への聞き取りと,連携カレッジにおける関連資料の収集を行った。 以上の文献調査や訪問調査によって,3つの研究課題に関する基本的な情報を得ることができた。これをもとに,ケース間の比較分析のためのデータを整理している。
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