ソーシャルメディアの情報を用いた位置情報の分析および,各種センサを用いた位置,行動マイニングに関する研究を行った.ソーシャルメディアを用いた研究では,マイクロブログにおける地域特有の単語および単語共起にもとづき,情報発信者の位置を推定する手法を提案し,地域トピックの考察を行った.スマートフォンの普及にともない,ソーシャルメディアのデータ量は増大を続けている.しかし,位置情報の付加されたデータが全体に占める割合は少ない.特に,大都市圏と比べ,地方都市の位置情報は非常に少ない.そのため,地方都市における地域トピックの考察には,情報発信者の大まかな位置推定にもとづく情報抽出が必要となる.そのため,位置情報付きデータに含まれる単語について,出現頻度,緯度経度の平均,標準偏差を求め,単語や単語共起の地域特定スコアを定義する.このスコアにもとづき,情報発信者の位置推定,および地域トピックの考察を行った. 各種センサを用いた位置,行動マイニングに関する研究では,GPSと3軸加速度,3軸角速度,3軸磁気で構成される9軸センサを用いた動作計測システムを開発した.このシステムを利用し,スポーツを行っている場合の動作分析を行った.動作計測機器は,頭部,腹部,両足首に装着する.複数の計測機器から得られたデータは,前処理ソフトウェアにより,GPSタイムスタンプを用いて同期される.この前処理データにもとづき,スポーツ種目を判別するために,自己相関関数を用いて,各時系列データ間の距離を定義した.距離の評価のため,距離にもとづく類似滑走のランキングについて精度を定義し,階層的クラスタリングの樹形図を用いた.これら精度および樹形図の観点から,動作,行動を分類する手法として本研究の提案手法が有効であることを確認した.
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