研究課題/領域番号 |
24500307
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
真栄城 哲也 筑波大学, 図書館情報メディア系, 准教授 (30361356)
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キーワード | 作曲 / 意思決定 |
研究概要 |
楽曲の作曲時における意思決定の表現モデルについて,本研究でこれまでに作成した楽曲4曲分の作曲過程の記述データを用いて,意思決定のモデル化を行なった.楽曲の意思決定構造はハイパーネットワークで記述され,意思決定の類似度に基づく類似した楽曲部分の検出が可能となる.この手法を用いることによって,類似構造を持つ楽曲の部分を作曲家へフィードバックでき,さらには演奏者へ提示 することで,より表現力の高い演奏の実現を支援できる.また,一般的な階層構造を持つ知識表現ではなく,複数の視点を記述可能な表現モデルの検討を進めた.このモデルによって,より正確な意思決定の表現が可能になると考えられる.このモデルは,概念の階層関係に基づく記述ではなく,複数の視点を内在し,任意の視点を必要に応じて表現できる,より多様な表現モデルである.作曲過程の記述では,音楽理論,意思決定の要因,作曲者の概念,楽曲の構造や演奏技法のように,同じ対象を複数の異なる視点から捉える必要がある.考案したモデルを用いて,これまでに得られた作曲過程の記述を拡張する作業を進めた.一方,解析に必要となるデータである作曲時の意思決定過程については,これまでに作曲を依頼したプロの作曲家と,作曲過程の記述方法や,これまでの記述で追加情報が必要な部分の補足,さらには記述内容について議論を行なった.また,楽曲の作成版の間の関係性を記述するためにも本研究で考案した表現モデルは有効であると判断した.さらには,作曲過程の記述方法について項目を含めて検討し,改良を行なった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた楽曲の作曲過程の意思決定や意図の解説を,提案したモデルに基づいて記述が進行中である.また,意思決定を表現するモデルを改良し,その結果,一般的な意思決定の連鎖の表現にも適用できる.
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今後の研究の推進方策 |
考案した表現モデルを用いて生成した作曲時の意思決定データの記述を続ける.さらには,これまでの作曲過程の記述内容を検討し,新たなデータの作成を検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
作曲家に新曲の作曲を依頼し,作曲過程の詳細な記録を付ける作業を依頼する予定だったが,作曲家の都合により今年度は作曲の依頼ができなかったため,謝礼として予算を使用できなかった. 作曲家へ新曲を依頼し,作曲過程の詳細なデータを得る予定である.
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