研究課題/領域番号 |
24500307
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
真栄城 哲也 筑波大学, 図書館情報メディア系, 准教授 (30361356)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 作曲 / 意思決定 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,楽曲を,作曲過程の意思決定の連鎖によって記述する表現モデルを構築し,複数の楽曲の関係性を表現すること,そして作曲者および曲調と用いる理論の違いが作曲過程に与える影響を解析すること,である.特に,楽曲がどのように作成されるかの途中過程を表現することで,作曲の意思決定過程に基づく楽曲の表現方法の構築と,演奏家の解釈への影響の解析を目的としている.これまでに,作曲家に5曲の楽曲の作成と作曲過程の記述を依頼し,意思決定のモデル化を行なった.楽曲の意思決定構造はハイパーネットワークで記述され,意思決定の類似度に基づく類似した楽曲部分の検出が可能となる.この手法を用いることによって,類似構造を持つ楽曲の部分を作曲家へフィードバックでき,さらには演奏者へ提示することで,より表現力の高い演奏の実現を支援できる.また,複数の視点を内在でき,利用者の要求に応じて適切な視点で表現することができる.この表現に関して,複数の視点に基づく表現間の関係性を定量的に評価する方法について検討した.作曲家と演奏家のように異なる用途の場合には,通常,視点が異なる.一方,同一利用者でも複数の視点を用いる場合がある.いずれの場合も,異なる視点間の相違点を定量的に提示できれば有用である.また,これまでに得られた作曲過程の記述拡張を継続して進めた.そして,これまでに生成した作曲過程の記述内容の検証を行なった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的である作曲時の意思決定の表現方法について,記述内容の検証結果から予定通り達成できたと判断できる.また,表現モデルについても同様に予定通りだと判断できる.
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今後の研究の推進方策 |
新たに作曲を依頼した曲について,提案モデルを用いて記述を行ない,その内容について作曲家との議論を行ない,これまでに構築した他の曲の記述と統合する方法を検討し,その結果について議論する.
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究で作曲過程データを得るために,作曲を依頼している作曲家の作曲作業に同席して行なう記述作業を2月に行なう予定であったが,同氏が体調を崩したことと,同氏が依頼を受けている他の作曲作業の遅延により,本研究の作曲のためにまとまった時間を確保することが困難になった.そのため,同氏の仕事の負荷が現在よりも低い4月以降に,延期することが良いと,同氏との相談によって決定した.
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次年度使用額の使用計画 |
作曲を依頼する作曲家の作曲作業に同席し,作曲の記述作業を実施するため,同氏の所在地への渡航費と,滞在費として使用する.
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