研究課題/領域番号 |
24500312
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
永田 好克 大阪市立大学, 人文社会系研究科, 准教授 (70208023)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | タイ東北部 / 電子地名辞書 |
研究概要 |
初年度は下記のように研究を進めた。一点目は、冊子体の過去の地名一覧データを電子データ化することであり、材料としてまず1960年代の約4万件のデータから入力を進めている。地名表記の揺れを確認できるデータも含んでおり、研究計画書上で予定した1960年代発行のL708シリーズ地形図における村落地名データベース構築を補完するものと位置づける。L708シリーズ地形図に基づく村落地名データの整理は、作業の枠組みについて準備を進めているところである。 二点目は、村落地名の来歴を考察するために、地名に用いられている単語の意味を分析する作業を進めてきた。タイ東北部では、標準タイ語では意味を解釈できない単語も少なからず使用されており、地元で優勢なイサーン語、さらにはラオ語でも意味を確認する必要がある。またこのことが、電子地名辞書の構築を複雑なものにする要因となる表記の揺れにつながっていることから、村落地名データベースのデータ形式を検討する上での重要な資料となる。この作業を通じた成果の一部として、古くから存在する村落と、比較的新しい村落とでは、村落名称に用いられる単語の傾向や地域分布が異なっている点を、第1回ANGIS国際会議、およびPNC 2012 国際会議にて報告を行った。 三点目は、関連資料に関する情報収集として、海外共同研究者を通じてタイでの地名データ収集に関する学術的取り組みの現状を調査した。また地名の由来を解説した書籍の複写など、関連資料の入手を現地で行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
多言語文字表記における表記の揺れに関する定量的、定性的分析が必要であるが、分析のもととするべきデータの入力がまだ途上であり、揺れを考慮したデータ表現手法の検討がこれからである点で、当初の予定よりもやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き冊子体による過去の地名データの電子化作業を進める。1960年代の資料(Official Standard Names Gazetteer、約3万3千件)のほか、1940年代の資料(Gazetteer to Maps of Thailand、約7万8千件)も冊子体では入手済みであり、この二種の資料の電子データ化を完了させた上で、ローマ字翻字にみる表記の揺れや地名の変遷の分析を進める。ローマ字翻字をもとのタイ文字表記と対応付ける手順についても工夫が要することは予想済みであり、これを経て多言語表記による村落地名履歴データベースの構築につなげていく。 網羅的な地形図に基づく村落地名の収集と位置情報データベース化作業についても進めていく。数種類の出所が異なるデータセットがまず構築されることとなるため、これらを統合化する手法の検討と実装を行う。 また現地での関連研究との協力推進の可能性について、海外共同研究者の協力のもと引き続き情報を収集する。
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次年度の研究費の使用計画 |
大きな比重を占めるのがデータ入力作業に対する謝金である。冊子体二種類の電子データ化に対して約90万円、また地形図からの地名データ収集作業に対して約90万円を予定する。また、タイでの情報収集や関連研究を行う研究者らとの議論のために、外国旅費を確保する。
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