室町時代に、清原宣賢によって書かれた漢文『蒙求』についての注釈書である各種の抄物と、各種の漢文『蒙求』本文と、また清原宣賢以外によって書かれた抄物の引用関係を明らかにすることで、清原宣賢の学問のあり方、さらにそれにより当時の学問のあり方を解明することが、この研究の目的である。 平成26年度は、米沢図書館蔵『附音増広古註蒙求』等いくつかの『蒙求』本文データを作成した。さらに、米沢図書館蔵『附音増広古註蒙求』と大阪大学外国学図書館蔵『韓本蒙求』との対照本文を作成した。今後、これら『蒙求』本文と清原宣賢による『蒙求』についての各種の抄物とを対照することで、その成立を明らかにできるものと期待している。 京都大学附属図書館清家文庫には桃源瑞仙による『史記』に関する抄物である『史記抄』20冊の写本が現存している。清原宣賢の『蒙求』に関する抄物には、桃源瑞仙による『史記抄』からの引用が含まれている可能性がある。この『史記抄』は、その画像がインターネット上に公開されているが、電子化データはない。そこで、この『史記抄』本文と清原宣賢による『蒙求』についての抄物の本文とを対照する事を目的として、桃源瑞仙による『史記抄』の電子化を行った。さらに、電子化データの最終確認とともに、『史記抄』と漢文『史記』との引用関係の確認、および『史記』の注釈書である漢文『史記索隱』・『史記集解』・『史記正義』との引用関係の確認を行った。今後、これらのデータを利用することで、清原宣賢による『蒙求』についての各種抄物の成立、および桃源瑞仙による『史記』についての抄物である『史記抄』の成立を明らかにできるものと期待している。 なお、作成のデータについては、整理ができしだいインターネット上での公開を予定している。
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