研究課題/領域番号 |
24500321
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
井上 雅史 山形大学, 理工学研究科, 助教 (50390597)
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研究分担者 |
花田 里欧子 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (10418585)
古山 宣洋 国立情報学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (20333544)
入野 俊夫 和歌山大学, システム工学部, 教授 (20346331)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 対話 |
研究概要 |
対話を通じた問題解決においては,対話がしばしば目標と異なる方向に進行してしまうため,調整が欠かせない.しかし,専門家として対話を行う者であっても,常に調整に成功するわけではなく,成功する対話進行機構の理解が求められている.本研究では専門的対話として,カウンセリング対話を取り上げる.そこでは,クライエントの話をきちんと聞かなければと意識するあまり対話の調整を全く行わず,問題解決に向けた具体的な取り組みに話題を進めることができないといった問題や,対話の進行を調整するための心理臨床技法を過剰に使用してしまい,クライエントとの関係構築が不十分になる問題が存在する.これらは初心セラピストにしばしばみられる問題であり,経験を積むことで自然に適切な調整技能を身に着けることが期待されている.しかし,熟練者が対話中にどのように調整を行っているかが知識化されていれば,効率よくかつ個人差の少ない訓練が可能となる. 本年度は,臨床対話コーパス収録におけるコーディングスキーマおよび対話ステージ定義について発表するとともに,データ利用にまつわるプライバシーや倫理といった問題について論議した.また,カウンセリング対話ジェスチャー空間においてクライエントの問題の把握がどのように位置づけられているかについても検討した.次年度に向けて,データ収録環境を改善し,新規データの収録を開始した.特に,同一のクライエントに対して異なるセラピストが対応する場合に着目し,専門家の対話戦略の差異が,言語・非言語行動にどのように表れるかについて検討を開始している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対話データの収集は,さまざまな改良を加えつつ進行している.また,新たな分析の観点についての検討も始まっており,順調と言える.一方,対外発表については今後増加を図るべき段階にある.
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今後の研究の推進方策 |
今年度に実施したデータ収集を改善しつつ継続するとともに,事例研究という形で,定性的な分析を行う.また,一定量のデータが利用可能になった段階で,定量的な分析を行う.本研究のような実データに基づくデータ駆動型の研究と,実験的な研究との接続をにらんで,非言語行動に関する実験的な研究成果をとりまとめる.さらに,得られた知見の情報技術への展開を目指して,対話システム研究との接続可能性についても検討していく.
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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