研究課題/領域番号 |
24500321
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
井上 雅史 山形大学, 理工学研究科, 助教 (50390597)
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研究分担者 |
花田 里欧子 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (10418585)
古山 宣洋 国立情報学研究所, 情報社会相関研究系, 准教授 (20333544)
入野 俊夫 和歌山大学, システム工学部, 教授 (20346331)
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キーワード | 対話分割 / 発話 / 身振り / 深度情報 / 意味認知 / マルチモーダル |
研究概要 |
何らかの目標を達成しようとする対話においては,対話を適切に進行させるための調整が必要となる.効果的な対話においては,「次の話題に移りましょう」といった発話などでの明示的な調整が行われるだけではなく,対話の状態が自律的に変化する状態を待つといった,探索の過程も伴っている.対話技能の訓練や対話システムの改善において,専門家がいかに対話を進行させているかについての知見が有用であるが,無意識的でもある調整の機構には,不明な点が多い.本研究では特にカウンセリング対話を取り上げて,言語的なモダリティーと非言語的なモダリティーを統合的に分析し,対話の進行における探索と調整の巧みな使い分けの実態を明らかにする. 実験的な場面においては,言語的・非言語的モダリティー間に相互作用があることが分かっており,実対話においても同様であると予想されるため,初年度で考察した発話内容と頷きという行為種別に加え,身振りや発話の音響特徴といった他の特徴を分析対象に追加してゆき,より包括的な対話の把握を目指した.特に,発話内容と身振りとが,話題分割において果たす役割を,自動話題分割アルゴリズムの観点から検討した.カウンセリングにおいて様々なモダリティーがいかに統合的に使用され,対話の流れが構成されているかを明らかにするには至らなかったため,引き続き利用可能性を検討していく. 複数のモダリティを統合する上で問題点となるのが,データを計算機で利用可能とするために,人手によって行われる発話内容の書き起こしや発話内の事象のコーディングにアノテータ(作業者)毎にずれが生じることである.そこで,適切な基準を設定する手がかりとするために,まず身振りを見た人間がどのように意味を想起するかを,深度情報付きカメラ映像を用いて,実験的に検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
複数のモダリティを統合的に取り扱う技術及びアノテーションの設計については進展しているが,カウンセリング対話への適用のために検討すべき事項が多く出てきたため,今年度に集中的に取り組む必要がある.
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今後の研究の推進方策 |
これまで研究分担者の下でカウンセリングデータを収録してきたが,異動に伴い収録環境が使用できなくなる.対話データの量を増やすのではなく,収集済みのデータのより深い分析を中心に進めていく計画である.また,研究代表者の研究室においても,データ収録環境を構築し,異なる対話データを対比させることも検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
3月の研究打合せが中止され,旅費相当分が未使用額となった. これまで使用していた東京の打ち合わせ会場が利用できなくなったため,京都で研究打合せを行う予定であり,そのための追加の旅費として使用する.
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