研究概要 |
本研究の目的は、日本語話者の<事態把握>の傾向、すなわち事態を主観的―主客合一的―に把握し、それに応じて独話的に語りだす傾向が、いかに文法や語彙などの言語形式に現れ、かつ互いに並行性が見られるか、また翻訳を通じて異なる<事態把握>の傾向のある言語話者の場合とどのような表現上の相違があるかを明らかにすることと、日本語話者の<主観的把握>の傾向から、日本語と文化一般について、どのような<相同性>が見られるかについて、日本古来のキーワードである<見立て>を軸として、考察を進めるものである。 前者については、研究発表・講演では守屋2012.5,2012.8、池上2012.4,2012.8,2012.10a,2013.1,2013.2, があり、論文では守屋2012.6,2012.6,2012.8,2013.2,守屋・池上2012.6,池上2012.11,がある。これらにおいて<事態把握>に基づく言語形式間の平行性を「語順・モダリティ・複合語」などを例に捉えるとともに、翻訳をめぐる<事態把握>の表現性の特徴についても考察を進めた。後者については、研究発表では守屋・池上2012.9,守屋2012.12,2013.3,池上2012.9,2012.10b,2013.2,2013.3、論文では守屋2013.3が挙げられ、いずれも<見立て>を軸とした、言語と文化の相同性をより明らかにするとともに、<見立て>とは何かという課題をより深い考察を進めることができたと考える。 本研究は、国内外の研究者からの協力を得て数度にわたり研究会を開き、研究を進めることで、今後の課題を具体的に捉えることが可能となったとともに、国内外での<事態把握>と<見立て>、および言語と文化の<相同性>に関するテーマの研究上の有効性を相当程度に主張することができたものとと考える。
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