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2013 年度 実施状況報告書

日本語話者好みの<主観的把握>に基づく表現性と<相同性>―認知類型論的考察―

研究課題

研究課題/領域番号 24500329
研究機関創価大学

研究代表者

守屋 三千代  創価大学, 文学部, 教授 (30230163)

研究分担者 池上 嘉彦  昭和女子大学, 文学研究科, 教授 (90012327)
キーワード認知言語学 / 見立て / 相同性 / 近景 / 遠景 / 認知類型論 / ダブル・イメージ / 日本語
研究概要

25年度の研究実施計画に基づき、以下を実施した。1.「語り」と「読み」の研究成果をまとめるとともに、「見え」の共有をさらに発展させ、主体的な創造性に関わる<見立て>の観点から、研究全体を深め、研究発表・講演を行った。2.<見立て>の統一的な研究および、言語と文化の<相同性>の研究に向けて、イメージ・スキーマとしての<見立て>の機能に着目し、言語・文芸だけでなく、様々な日本の視覚文化について、<見立て>がどのように創造者・受容者に活用されているかを調査・分析した。3.<相同性>の対象としては、日本の和菓子を取り上げた。和菓子は<見立て>の完成を見たものの一つであり、茶席の菓子や贈答として贈り、受け取る者が<見立て>を共有することで、成立する。その在り様を和菓子職人へのインタビューおよび協同研究を通じて、考察した。
4.言語と文化の<相同性>については、論文および研究発表・講演の形で、考察を行い、発表した。5.<見立て>が異なる言語話者ではどのように観察されるか、まずは日本語話者と同様に<主観的把握>の傾向のあるトルコ語話者の場合を中心に、協同研究を通じて考察した。また、東アジア日本学研究フォーラムで、講演とそれに続く会議で、日本と同じ<見立て>が観察されるわけではないにせよ、同様にダブル・イメージでモノ・コトガラを捉える手法がありそうであることを確認し、来年度への方向性を捉えた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的は、日本語話者の<主観的把握>がどのような表現性につながっているかを、<見立て>という観点から具体的に捉え、日本語と日本文化を通じて<見立て>の手法を用いた認知的行為をいかに行うかを確認し、さらに<事態把握>から見た場合、こうした<相同性>がいかに観察されるかを考察して、認知類型論的研究に迫ることにある。本研究は、これまでに<見立て>が日本語・日本文化を通じて相当程度共通して観察されること、その点で<相同性>が観察されると思われること、日本語以外の<主観的把握>傾向の言語話者では、必ずしも日本語話者と同様の<見立て>を行っていないことを確認した。この点でほぼ順調に計画を実施したと言えるが、当初に計画したような、著書の編集には着手していないので、計画以上とは言い難いと判断する。

今後の研究の推進方策

当初の予定に従い、1.<見立て>の概念の総括を行う。この点は相当程度、明らかになってきた。2.<見立て>を通じての日本語と日本文化の<相同性>をより具体的にしていく。今年度は、日本の視覚文化と言語の<相同性>について、より具体的に検証する。3.<見立て>をめぐる認知類型論的研究のために<見立て>およびその概念を少し拡大解釈をして、、海外―中国・韓国・モンゴル・トルコ・ロシア―の研究協力者たちとともに共同研究を実施し、研究発表につなげたい。4.<見立て>と「比喩」とはどのように異なるのかについては、類型論的な研究を通じて、<主観的把握>傾向の話者は<見立て>表現の志向性が表れ易く、<客観的把握>傾向の話者は「比喩」表現の志向性が見られることを明らかにしたい。5.本研究を総括し、共同で発表を行う。

次年度の研究費の使用計画

想定した旅費と実際にかかった旅費に差が生じたため。
今年度の旅費に充てる。

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (12件) (うち招待講演 8件)

  • [雑誌論文] 日本語のモダリティ』再考―〈事態把握〉の表現性から考える―2013

    • 著者名/発表者名
      守屋三千代
    • 雑誌名

      北京大学日本語文法教育シンポジウム論文集

      巻: 23 ページ: 33-45

    • 査読あり
  • [雑誌論文] モダリティをめぐる中日対照研究―〈事態把握〉の観点から2013

    • 著者名/発表者名
      守屋三千代
    • 雑誌名

      漢日語言対比研究論叢

      巻: 13 ページ: 133-145

    • 査読あり
  • [雑誌論文] <見立て>から考える日本語と日本文化の<相同性>2013

    • 著者名/発表者名
      池上嘉彦・守屋三千代・百留康晴・百留恵美子
    • 雑誌名

      日本認知言語学界全国大会論文集

      巻: 13 ページ: 624-647

    • 査読あり
  • [学会発表] 認知言語学から見た日本文化―文化記号論入門―言語と文化の相同性を視野に入れて―2014

    • 著者名/発表者名
      守屋三千代
    • 学会等名
      ドイツVHS日本語教師研修会
    • 発表場所
      ドイツ・マルクトブライト研修所
    • 年月日
      20140307-20140309
  • [学会発表] 'Subject-Object Contrast' and 'Subject-Object Merger' in thinking for Speaking

    • 著者名/発表者名
      池上嘉彦
    • 学会等名
      Pre-International Cognitive Linguistics Conference 12th symposium
    • 発表場所
      University of Alberta,Canada
  • [学会発表] Ego-centric Perspective and Grammar

    • 著者名/発表者名
      池上嘉彦
    • 学会等名
      12th International Cognitive Linguistics Conference
    • 発表場所
      University of Alberta,Canada
  • [学会発表] <事態把握>の相対性―言語構造の比較対照から言語の話者の<好まれる言い回し>の比較対照へ

    • 著者名/発表者名
      池上嘉彦
    • 学会等名
      外国語と日本語の対照言語学的研究第10回研究会
    • 発表場所
      東京外国語大学
    • 招待講演
  • [学会発表] <見立て>:送り手と受け手の間での意味創出の営み―文化記号論の試み―

    • 著者名/発表者名
      池上嘉彦・守屋三千代
    • 学会等名
      認知言語学会全国大会
    • 発表場所
      京都外国語大学
  • [学会発表] 文化記号論

    • 著者名/発表者名
      池上嘉彦
    • 学会等名
      中・日・韓比較文化研究国際学術シンポジウム
    • 発表場所
      中国・瀋陽航空航元大学
    • 招待講演
  • [学会発表] <視点>から<事態把握>へ―<自己のゼロ化>の言語学と詩学

    • 著者名/発表者名
      池上嘉彦
    • 学会等名
      北京大学国際シンポジウム:多言語における視点研究
    • 発表場所
      北京大学
    • 招待講演
  • [学会発表] 日本語の視点:〈見え〉から〈見立て〉へ―日本語話者にとって「見る」とは何か―

    • 著者名/発表者名
      守屋三千代
    • 学会等名
      北京大学国際シンポジウム:多言語における視点研究
    • 発表場所
      北京大学
    • 招待講演
  • [学会発表] 'Haiku' and the Jaoanese Language

    • 著者名/発表者名
      池上嘉彦
    • 学会等名
      Symposium:Japan and Europe inGlobal Communication
    • 発表場所
      Mykolas Romeris University
    • 招待講演
  • [学会発表] <見立て>―日本文化のキーワード―:国際共同研究を通して考察する

    • 著者名/発表者名
      守屋三千代
    • 学会等名
      第4回東アジア日本研究フォーラム
    • 発表場所
      韓国・釜山
    • 招待講演
  • [学会発表] <見え>から<見立て>へ―そして<相同性>

    • 著者名/発表者名
      池上嘉彦
    • 学会等名
      北京日本学研究センター特別講演会
    • 発表場所
      中国・北京日本学研究センター
    • 招待講演
  • [学会発表] 日本語と日本文化における〈見立て〉:相同性を視野に入れて

    • 著者名/発表者名
      守屋三千代
    • 学会等名
      北京日本学研究センター特別講演会
    • 発表場所
      中国・北京日本学研究センター
    • 招待講演

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公開日: 2015-05-28  

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