研究課題
今年度は本実験を実施した.生後3-8ヶ月の間の乳児の脳血流量の変化をNIRSにより計測を行った.NIRS本体(日立メディコ社製ETG-4000)と乳児用プローブ(日立メディコ社製3×3モード,24チャンネル)を用いた.提示した刺激はNakato et al(2009)と同じもので,5種類の野菜のカラー写真と,5名の未知の女性の正面顔と横顔の写真計10枚であった.刺激提示は,ベース刺激を10秒以上提示した後,乳児が画面を見ている際に,テスト刺激(正面顔)を5秒間提示した.その後,再びベース刺激を10秒以上提示し,次にもう一つのテスト刺激(横顔)を5秒間提示した.この流れを,乳児が見飽きたり,泣くまで反復して提示した.乳児のデータに関して,分析を行ったところ正面顔と横顔に対する右側頭部での活動の相違から,個々人の顔認知における発達的な違いが明らかになった.すなわち,正面顔に対しては,生後3ヶ月ですでに右側頭部での脳血流量が増加した.しかしながら,その後は発達に伴い緩やかな脳活動が示された.一方で,横顔に対しては生後6ヶ月以降で右側頭部において脳血流量が増加した.さらに,その後発達に伴い線形的に脳活動が増加した.これらの結果から正面顔と横顔に対する脳活動の発達曲線が異なる可能性が示唆された.今回の研究によって,生後3-8ヶ月の発達に伴い,横顔に対する右側頭部の活動領域が各個人で異なったことから,生後1年の間で顔認知に特化した反応領域が発達することが考えられた.
2: おおむね順調に進展している
実験・分析は順調に進んでおり,25年度の目的に沿って研究が遂行できたと考えられる.
今後は,分析をさらに進め,英文論文の執筆に取り掛かる.
国外研究者との研究打ち合わせが,相手先のスケジュールが合わず実施されなかったため.国外研究者との研究打ち合わせ代に使用予定.
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