研究課題/領域番号 |
24500336
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研究機関 | 独立行政法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
馬田 一郎 独立行政法人情報通信研究機構, ユニバーサルコミュニケーション研究所 多感覚・評価研究室, 研究員 (40374110)
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研究分担者 |
鳥山 朋二 富山県立大学, 工学部, 教授 (00418518)
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キーワード | 共同作業 / 作業環境 / 作業役割 / 主導権 / 参照機転 |
研究概要 |
本年度は多人数対話での共同作業への貢献と身体行動傾向の関係について、特に発話時の視線行動およびコミュニケーション能力の関係について重点的に分析を行った。 共同作業時の主導権保持者推定のための基礎知見を固めるため、2013年度を通じて同志社大学理工学部の山本教授と共同研究を行い、母国語および第二言語による3人対話の分析を進めてきた。その結果、参与者のコミュニケーション能力が低くなる第二言語会話の場合、母語の場合と比べて発話者に対する聞き手の注視量が多くなることが明らかになった。また、第二言語の場合、注視行動は作業参加者自身が意識しているものとは大きく異なる傾向を示していることが示唆された。これらの結果については、CogSci2013 および ICMI2013 で発表した。それ以外にも、沈黙中の共同作業相手への注視量も多くなること、自由対話と共同課題対話での視線行動に違いがある可能性も示されており、共同作業への貢献度推定の重要な基礎知見を得ることができた。 上記の結果を参考にしつつ、分担者である富山県立大学の鳥山教授と共同作業対話コーパスの再分析を継続中である。また、コーパスの一部では視線データの座標ずれが生じている可能性をあるため、データの再確認を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
作業環境での移動などの大きな身体動作を伴う対話データおよび遠隔共同作業の分析については、視線データの再確認が必要となっている関係で作業がやや遅れているが、その反面で多人数対話におけるコミュニケーション能力と注視行動の相関、注視行動とインタラクションの主導権との相関に関する分析が大きく進展した。注視行動に関する知見は CogSci 2013 および ICMI 2013 において発表しており、さらに今年度の発表を目指して準備中である。また、視線データの再確認も目処が立っているため、大きな身体動作を含む共同作業のデータ分析結果の発表も進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
多人数共同作業対話時の視線行動分析においては大きな進展が見られており、これらをまとめて ICMI、CSCW などのACM Conference および認知科学系の論文誌にて発表していく予定である。また、分析が遅れている大きな身体動作を伴う対話データの分析および遠隔共同作業の分析については、上記視線行動分析から得られた知見を反映し、また視線データの再確認を進めた上で、同様に ACM 系の会議および認知科学系の論文誌への発表を準備する。
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次年度の研究費の使用計画 |
大きな身体動作を伴う共同作業課題、および遠隔共同作業課題の分析がやや遅れているため、そのために見込んでいた追加実験費用およびデータ処理費用の使用を次年度に持ち越した。 モーションキャプチャーを使用した共同作業実験を行うための実験参加者謝礼、実験補助者謝礼、およびデータ処理作業発注のために使用する。
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