本課題では,前年度までに,あるサンプル集合(陽サンプル)と,その原点対称となる鏡像サンプル(陰サンプル)を一つのガウス分布で表現する陰陽ガウス分布を提案し,これから導かれる統計的パターン認識手法を開発した.具体的には,陰陽ガウス分布をカルバック・ライブラー情報量や複合決定問題(ベイズの定理の拡張)に適用することにより,これまで発見的に開発されてきた相互部分空間法や複数サンプルの同時クラス分類を効率的に行う手法を統計的に導くことを可能としてきた.平成26年度ではこれらを画像認識,音声認識,動画認識などの大規模データに適用して,その有効性の検証を行った.その結果,少ない記憶容量と計算時間で,従来法と同程度の認識率を達成できることを実験的に示し,大量データ時代に対する一つのアプローチを提示することができた.
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