研究課題/領域番号 |
24500344
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
越智 義道 大分大学, 工学部, 教授 (60185618)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 統計科学 / 計算機統計学 / 並列計算 / 共有メモリ型並列計算 |
研究概要 |
研究基盤となる計算機環境を整備し,共有メモリ型スレッド並列処理としてOpenMP を導入した。疑似乱数生成の方策を中心にスレッド並列に適した疑似乱数生成法の検討を行った。さらに,スレッド並列と分散メモリ並列処理のタスク分散の方式についても検討を行った。 【研究環境の整備】現有計算機環境に8コアのCPUと6コアのCPUを持つ計算機を加えてマルチコア計算機群での分散計算環境を構築した。これらのCPU はそのアーキテクチャが異なるため,並列化でのCPU の特性の違いについても配慮するために導入したものである。これらの計算機の接続方式については,計算機群でのプロセスの群化を意識してネットワークを構築するために,2台の24ポートギガビット対応スイッチングHUB を導入し,さらにLANポートを2つ持つNASを導入してそれぞれに接続するものとした。そのネットワークにNIS サーバーを配置して自律的な LAN を構築し,これらの計算機群にOS(Linux),OpenMP 準拠のC・Fortran 言語コンパイラ, MPI 準拠の分散並列計算ライブラリOpenMPI を導入して開発環境を整備した。 【スレッド並列に適した疑似乱数生成法の検討】当初SPRNG やRanPM/LE等の並列処理を前提とした疑似乱数生成ライブラリや関数の共有メモリ環境への適用を検討していたが,GSL(GNU Scientific Library)環境下で提供される乱数生成機能が,スレッド並列での環境下で機能することを確認したので,本研究ではGSLライブラリの関数をこれ以降の研究では用いることとした。さらに,スレッド並列と分散メモリ並列処理におけるタスク分散の方式について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度に計画していた研究環境の構築,ならびにスレッド並列に適した疑似乱数生成法の検討については,その基本的な構築,確認は終了している。今後扱おうとする個別の問題について,特にGSLライブラリのスレッド並列環境への対応についは注意深く確認を行いながらその関数を用いていく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
基礎的な統計計算における並列化アルゴリズムにおいて,分散・共有メモリ型並列の効率とその融合の方策について検討を加える。 【統計計算アルゴリズムの並列処理化】1)モンテカルロ積分や重点サンプリングの方法の実装を行うことにより,スレッド並列環境下でのアルゴリズムの並列化による効率化の程度とMPI を用いたプロセス並列における効率化の程度をその融合の組み合わせの観点から調査する。2)ベイズ推測において必要とされる,相関のある複数の変数に関わる乱数生成法の並列化実装について検討を行う。ここでの基本的な乱数生成の方法としてはMCMC(マルコフ連鎖モンテカルロ)法を用いることとし,計算アルゴリズムとしてはギブスサンプラー,メトロポリス-へイスティングス法について検討する。3)当該研究室の最近の研究成果として,離散データの正確推測法での計算アルゴリズムにおいて新たな並列化の可能性が確認されつつあり,この方法での共有・分散メモリ型並列化の方策についても検討を開始する。 【プロセス並列・スレッド並列の融合の検討】上記の各種アルゴリズムでのタスクのプロセスやスレッドへの分配方法について検討を加える。基本的には,タスクを粗粒度に分割し処理単位(プロセスあるいはスレッド)へ割り付ける方法か,タスクを事前に小分けにしておき,処理の済んだ処理単位が次の小分け分を担当するワークプール法を用いたタスク分配法を考える。これらのタスクの配分方法について,プロセスとスレッドへの配分方法の組合せ方式,分割や配分の調整を含めて,スレッド並列とプロセス並列を融合した並列処理実施の適否について検討を加える。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし。
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