平成24・25年度に構築した並列分散計算環境の下で,統計計算における計算アルゴリズムの並列処理化について共有・分散メモリ型並列処理に関する検討を行った。 特に,モンテカルロ積分におけるハイブリッド処理のタスク分配特性について検討を加えた。ハイブリッド処理について,異なる計算機間ではMPIを用いたプロセス関通信を基礎とした分散メモリ型並列処理を行い,個々の計算機の上ではマルチコアCPUを活用し,OpenMPによるスレッド並列による共有メモリ型並列処理を行うことを考えた。個々の計算機上においてもプロセス間通信を行い,分散メモリ型並列処理を行うことが可能であるが,プロセス間通信を行わない分,ハイブリッド型並列の方がメモリ使用の観点や情報共有の観点から有利であることが確認されたが,同一計算機上での並列処理についてはスレッド並列処理において,実コア数に近いスレッドを実行させた場合に,プロセス並列よりも実行終了時間に関わる変動が大きくなる可能性があることを確認した。 このため,モンテカルロ積分を尤度計算の基礎として用いる離散データ解析における超過変動処理の問題への適用においては,尤度の最大化のプロセスにおいて,その初期段階で関数評価の精度を緩和し,評価時間に関わるコストを軽減し,順次精度の高い計算に移行して最適解を得る方法について検討した。 また,離散データの正確推測法における多変量多変量シフトアルゴリズムにおいて,処理の並列化効率について検討を行い,逐次性の高いアルゴリズム部においても,パイプライン処理を活用することにより並列化が可能であり,この部分において共有メモリ型処理によるシステム実装を行い,効率的なアルゴリズムとして機能することを確認した。
|