研究課題
本研究では(ⅰ)生活環境の変化が超高齢者の死因分布に与える影響,(ⅱ)死因分布の変化が寿命限界に与える影響,(ⅲ)寿命限界に影響を与える生活環境因子を明らかにすることを計画し,そのための第一の目標を,世代による死因分布の変化と寿命分布の限界値の変化との関係を明らかにすることに設定していた.しかし,25年度までに行った人口動態調査の死亡統計の分析では,データに基づく人間(日本人)寿命分布の限界値の推定結果が,筆者達(当研究課題の研究代表者および研究分担者)の予想以上に変動したため,その原因をデータの信憑性の面から検討した.その結果,何人かの長寿者については,Guinness World RecordsまたはGerontology Research Groupにおいて,出生記録の信憑性の問題によって記録が抹消されていることが分かった.そこで,本年度は,先ず,出生記録の信憑性に問題のあるデータを取り除いたデータに基づいて,寿命分布の限界値の推定をやり直した.その結果,世代および生別の寿命分布の限界値は次のように推定された.(1)日本初の近代的戸籍制度が制定された1972年より後の世代については,寿命限界は男性と女性で同じである.(2)戸籍から差別的身分の記載が廃止されるなど,1886年に戸籍法が改正された後の世代については,男女とも,寿命分布の限界値はほぼ123歳とすいていされた.以上の結果から,死亡統計の分析結果の世代間の変動は,戸籍制度の発展や整備に因るものであり,寿命分布の限界値は生活環境の変化や医学の発展によって変化せず,また世代や性別によらず,123歳であるという結論に至った.
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