研究課題/領域番号 |
24500348
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
田栗 正章 中央大学, 理工学部, 客員教授 (10009607)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 統計教育 / 参照基準 / 統計教育システム / クラス分けテスト |
研究概要 |
大学院における統計教育についての総合的な研究を、教授内容、教育組織、教育の方法に関わる3つの研究課題(A),(B),(C)に分けて行った。 第1に、「(A) 大学院における統計学分野の教育課程編成上の参照基準についての検討」に関しては、その前提となる大学学部における統計教育の内容が問題となる。しかるに、平成22年度に統計教育推進委員会が作成した“参照基準”は、以降の状況の変化を考慮して、多少改訂した方がよいとの意見もあり、まずその検討から研究を開始することにした。具体的には、平成24年度に採択された大学間連携共同教育推進事業「データに基づく課題解決型人材育成に資する統計教育質保証」の研究グループの中に作られた質保証委員会に副委員長として参画し、学部の参照基準の改訂を行い、平成25年度初めに適当なWeb page に、検討した結果を掲載することとした。 第2に、「(B)大学院における新しい統計教育システムの構築についての検討」に関しては、統計関連の教員が多く、また数々の優れた実績をあげている研究科/専攻の代表として、大阪大学大学院基礎工学研究科を最初の調査対象に選び、数名の担当教授から話を聞いて質疑を行う等、詳細な実地調査を行った。その結果、組織形態・授業開設形態の実情が判明し、また“統計関連組織”についてのいくつかの新たなアイデアも得られた。 第3に、「(C)大学院における統計教育のクラス分けテスト等についての検討」に関しては、大学入試センター等の法科大学院適性試験の過去の問題や、他の公的試験の過去問等を収集し、大学院での統計教育のクラス分けテストに使用できそうな問題をいくつか選定した。さらに、それらを改良した問題も何題か作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究課題「(A) 大学院における統計学分野の教育課程編成上の参照基準についての検討」に関しては、大学学部の“参照基準”の見直しから行ったために、大学院における“参照基準”を作成するまでには至らなかった。平成25年度には、これまでに得た結果を踏まえて、また(B)の研究成果も考慮に入れつつ、大学院における“参照基準”を作成する予定である。 研究課題「(B)大学院における新しい統計教育システムの構築についての検討」に関しては、大阪大学大学院以外にも、いくつかの大学院研究科を訪問して実地・面接調査を行う計画を立てていた。しかし、事前の調査事項の作成と精査に時間がかかったため、調査時期が1月以降となってしまった。そのため、同志社大学大学院等については日程的な調整ができず、平成24年度中に実地・面接調査を行うことができなかった。平成25年度には、早期に日程調整を行い、いくつかの大学院を訪問して調査を行い、得られた成果をまとめる予定である。 研究課題「(C)大学院における統計教育のクラス分けテスト等についての検討」に関しては、大学学部生をモニターとし、作成した何種類かの問題を使用して調査を行い、その結果に基づいて問題のさらなる改良を行ったため、大学院生を対象とするモニター調査を実施するまでには至らなかった。しかし、問題作成等についての準備はほぼ終了したので、平成25年度にはモニター調査を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
上記「研究実績の概要」の項で述べた3つの研究課題(A),(B),(C)を、並行して行う。 (A)については、上述したように、平成24年度には「大学院参照基準」(案)の作成まで行うことはできなかった。したがって、平成25年度にはまず、(1)「大学院参照基準」(案)の作成を行い、その後その案について、各学問分野の有識者に意見を求め、それを参考にしてさらなる改善を図り、本研究としての最終案を作成する。次に、(2) この最終案を、大学間連携共同教育推進事業質保証委員会・統計関連学会連合統計教育推進委員会で審議してもらい、「大学院参照基準」(第1版)を完成させる。 (B)については、上述したように、平成24年度には大阪大学大学院に対してしか実地・面接調査を行うことができなかったので、平成25年度にはまず、(1) 複数の優れた教育・研究を行っている大学院研究科に対して聞き取り調査を行い、それを基に「新たな組織形態」(案) の作成を行い、それについて全国の統計教育に携わる有識者に意見を求めてさらなる改善を図り、本研究としての最終案を作成する。この間、大学間連携共同教育推進事業質保証委員会・統計関連学会連合統計教育推進委員会と連携しつつ検討を進める。次に、(2) 作成した内容をとりまとめた冊子を各機関に配布し、コメントをもらう。 (C)については、上述したように、平成24年度には大学院での統計教育のクラス分けテストの作成まではできなかったので、平成25年度にはまず、(1) クラス分けテストの作成を行い、適切に選定した大学院の研究科/専攻の各々に対して、作成した問題を用いたモニター調査を行う。次に、(2) このテスト結果を解析し、どのような研究科/専攻に対して、どのような種類のクラス分けテスト問題で試験を行えば、その後の教育効果が挙がるかについての予測を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度からの繰越金(残金)は約40万円である。この内、平成24年3月までに使用したが、平成24年度中の経理には間に合わなかった額(旅費および消耗品費)が、約20万円ある。したがって、実質的な繰越金額は約20万円である。これは、上述したように、大阪大学大学院以外にも、いくつかの大学院研究科を訪問して実地・面接調査を行う計画を立てており、それを実施するための経費であった。しかし、日程調整ができず平成25年度に繰り越したものである。したがって、この20万円は、いくつかの大学院研究科を訪問して実地・面接調査を行うために使用する予定である。その他の経費の使用については、当初の計画通りである。
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