研究課題/領域番号 |
24500350
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
仁木 直人 東京理科大学, 工学部, 教授 (10000209)
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キーワード | 計算機支援統計 / 統計量分布 / 中標本 / 対称式 / モーメントのモーメント |
研究概要 |
1.ブートストラップ法の本質はリサンプル中の観測値出現頻度の頻度分布にあることを明確化し,ブートストラップ法で生じる頻度・頻度分布の一般化を行った.また,その一般化された分布が Pitman 確率分割と双対の関係にあることを見出し,原著論文として学術誌に投稿済みである. 2.その一般化をもとにしたブートストラップ法の拡張 (Infrated Bootstrap) が可能であり,リサンプリング法の大きな欠点である確率的変動の過小評価を解決する手段のひとつになると考えている.また,その拡張法から生じるリサンプル・モーメントの性質の一部について,すでに投稿準備が整っている. 3.ブートストラップ型リサンプリング法の(漸近評価ではない)正確な評価については,国際会議等で発表してきた途中成果に基づいて,より具体的な形でのまとめを行う準備ができた段階にある. 4.ブートストラップ法を典型例として含む GPU を用いた並列繰返し計算に関する研究が,具体的な成果としてまとまりつつある.そのうち,計算時間分布がガンマ分布で近似できる根拠を実験と理論的な観点の両面から議論した部分は,すでに学術誌に投稿中である.また,具体的な実装の関する論文も投稿準備が整っている. 5.リサンプリングに関する文献調査は,未だ十分とはいえない.特に,最も基本的な部分には特別な確率論的検討が必要であるが,既存研究だけではカバーしきれないように感じている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ブートストラップ型リサンプリングの確率論的解析は,予定した深度までに到達することを半ば断念せざるを得ず,確率論における既存論文で扱われている程度に留まると思われる. 一方,当初の研究計画には含まれていなかった「Pitman 確率分割との関係の明確化およびそれに基づくブートストラップ法の拡張」という発展を加えることができている. この両面から総合すれば,概ね順調といえよう.
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今後の研究の推進方策 |
研究のまとめに向かうことを第一と考えている.未だ計算機実験による形跡的結果の検証が不十分であり,当面数値的検証を集中的に進める必要がある.その検証を別にすれば,既存研究の調査に基づく部分以外,順調に論文化できる成果としてまとまりつつあるので,秋季には主要な部分を全て投稿済みとする計画である. また,時間的に余裕があれば,開発した方法・方法論の応用についても検討したい.
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次年度の研究費の使用計画 |
主たる連携研究者の妊娠・出産・育児により,予定していた国内外の出張が大幅に減ったことが,前年度および当該年度における次年度使用額を生んだ大きな原因である. 研究発表のため,旅費が高い夏期における欧州出張が予定されており,残額の大部分を初期予定額からの不足分の補充に使うことになる.
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