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2012 年度 実施状況報告書

時空間構造を持ったスキャン統計量の同時確率計算の実用化

研究課題

研究課題/領域番号 24500356
研究種目

基盤研究(C)

研究機関統計数理研究所

研究代表者

栗木 哲  統計数理研究所, 数理・推論研究系, 教授 (90195545)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワード空間疫学 / 多重性調整 / マルコフ性 / ジャンクション木
研究概要

本研究は,階層的相関構造からマルコフ性を抽出することにより,多数の時空間スキャン統計量の同時分布の高速計算法の確立を目的とする.それは特に空間疫学の疾病集積クラスター(ホットスポット)検出問題を念頭においたものであり,その分野で懸案となっている多重性調整p値と検出力の計算の実用化を最終的な目標とするものである.
いままでの研究において,スキャン統計量の空間情報,すなわち地理上の隣接関係から定義されるグラフのコーダル化によってマルコフ性(ジャンクション木)を抽出し,そのマルコフ性に基づく階層的逐次数値積分を用いて,多重性調整p値や検出力が計算できることが明らかにしていた.その結果を踏まえて,本年度は以下のことを行った:
(i) 改良を加えて高速化したアルゴリズムに基づいてスキャン統計量の多重性調整p値計算のための汎用的なCプログラムを作成した.
(ii) (i) のプログラムを用いて,東京都と神奈川県における平成23年の乳児死亡,新生児死亡数のデータ解析を行った.総インシデント数が200以下,最大ウインドウサイズが4以下ならば,現在のプログラムで実際的な時間で多重性調整p値を精度良く数値計算できることが分かった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計算可能なデータサイズは限られているものの,当初の目的であった多重性調整p値の数値計算を可能としている.

今後の研究の推進方策

本年度は以下のことを行う.
(i) 計算の高速化のための並列処理を検討する.計算ソフトウェアは並列計算で標準的なMPIを用い,計算機は統計数理研のスーパコンピュータと,個人のマシンにて行う.
(ii) 計算の高速化の別のアプローチとして,プリプロセッサによる方法がある.本計算はデータに依存する階層数の for ループを必要とする.また for ループの入れ子構造もデータによって異なる.これらの可変性に対応するために,最初にプログラムコードを生成するプログラム(プリプロセッサ)を作成する方法について検討する.
(iii) 現在は,観測データであるインシデント数が整数値のモデル(ポアソンモデル)を仮定している.これをデータが連続値であるガウス分布モデルに適用することを検討する.逐次計算のためのアルゴリズムを定式化し,可能ならばプロトタイププログラムを作成する.
(iv) 逐次和分(積分)とは別のアプローチとして,抽出したマルコフ化に基づく逐次モンテカルロ法というアプローチが考えられる.その方法を定式化し,現在空間疫学の分野で用いられているモンテカルロ法との優劣について検討する.
(v) 論文執筆ならびに学会発表を行う.

次年度の研究費の使用計画

数値計算のために,高性能パソコン,ならびに周辺機器,数値計算ソフトウェアを購入予定である.また基本的な文献,論文を購入する必要がある.国内,国外での成果発表(学会発表)のために旅費を必要とする.論文執筆のために,英文校閲料を必要とする.数値計算データ整理,論文執筆における図表作成の補助のための謝金も必要とする.

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 地理情報のマルコフ化による空間疫学スキャン統計量のp値の正確計算

    • 著者名/発表者名
      栗木哲
    • 学会等名
      2012年度統計関連学会連合大会
    • 発表場所
      北海道大学(札幌)

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公開日: 2014-07-24  

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