研究課題/領域番号 |
24500358
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
種田 晃人 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (70332492)
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キーワード | バイオインフォマティクス / 機能性RNA / 核酸配列設計 / 多目的最適化 |
研究概要 |
構造変化を伴うRNA配列設計のためのアルゴリズム開発を行った。これまでに培ってきた多目的遺伝的アルゴリズムのノウハウを応用し、人為的な重みづけを行うことなしに複数の目的関数を持つRNA配列設計問題のパレート最適解を探索できるアルゴリズムを開発した。従来手法では、重みづけが経験的に行われていた点がユーザビリティの点において問題であった。本手法により、様々な目的関数をユーザーが自由に変更してRNA配列設計を行うことが従来手法と比して容易となった。また、本研究課題で開発したアルゴリズムでは、ユーザーが指定した配列モチーフや、既知のアプタマー配列・二次構造を考慮した設計も可能とした。「センサー部分の状態により機能をスイッチする人工機能性RNA配列(人工リボスイッチ)」の設計が可能なウェブユーザーインターフェースを持つ設計ツールを開発し、ウェブサービスとして公開した。 開発したアルゴリズムの性能評価を、構造変化を伴うRNA配列設計アルゴリズムの従来手法(RNAdesign法やFrnakenstein法)の評価において用いられてきたベンチマーク用ターゲット構造を用いて行った。構造変化を伴うRNA配列設計の性能評価によく利用されているSV11をターゲット構造とした設計では、RNAdesign法やFrnakenstein法では報告されていない、2つのターゲット構造が同時に最安定(最少自由エネルギー構造)となるRNA配列を多数設計することに成功した。また、3つまたは4つのターゲット構造を持つ配列設計において、本研究で開発した手法がRNAdesign法よりもよい設計性能を示すことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに構造変化を伴うRNA配列設計と比較ゲノムによるシスエレメント予測を実施することができた点、RNA配列設計アルゴリズムの論文の執筆をほぼ終えており、近い将来投稿できる見込みである点は順調に推移していると考えている。ただし、エネルギーバリア予測についてはまだアルゴリズムの開発を続けており、この点においてはやや遅れていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
RNA配列設計手法の国際的競争の激化を受け、平成26年度に行う予定であった構造変化を伴うRNA配列設計のためのアルゴリズム開発を前倒しして平成25年度に行ったため、平成26年度は主に平成25年度に予定していた研究を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に投稿予定であった論文の投稿とその学会発表が平成26年度にずれこんだため次年度使用額が発生した。 投稿予定であった論文の執筆はほぼ終了しており、完成し次第、速やかに英語専門誌に投稿する予定である。また関連した内容の学会発表も今年度中に行う。
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