最終年度においては、構造変化を行う機能性RNAであるリボスイッチ等を予測可能な機能性RNA遺伝子予測用システムの開発を行い、S. oneidensisとその近縁種に対して適用を行った。平成24年度に行った原核生物ゲノムに対する比較ゲノムによる機能性RNA配列予測手順をベースに、より効率的にRNAシスエレメント配列の予測を行うために、「BLASTにより配列類似性があると判定されたオペロン先頭遺伝子配列間の上流領域に対して多目的最適化によるRNA配列ペアワイズアライメントを行い、特徴的な共通二次構造を持つ配列を予測する」システムとした。また、ヒューリスティクスによるRNA二次構造エネルギーバリア予測法の開発ならびにテストを行った。さらに、前年度から開発を続けてきた「構造変化を伴うRNA配列設計のための多目的遺伝的アルゴリズム」に、エネルギーバリア値を設計に考慮するための機能を付け加えた。このRNA配列設計アルゴリズムについての論文執筆を行い、国際雑誌に投稿を行った。 全研究期間のまとめ:バクテリアの全ゲノム配列データを利用して「構造変化を伴う機能性RNA」を含む機能性RNA候補を予測するための比較ゲノムシステムの開発を行い、予測システムの応用結果として複数の機能性RNA候補を予測することができた。また、「構造変化を伴う機能性RNA配列を人工的に設計するための多目的遺伝的アルゴリズム」を独自に開発することに成功し、そのアルゴリズムについて国際学会での発表や国際雑誌への投稿を行った。
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