概日リズムを持つヒトの適応戦略を策定するために、概日リズムの中枢である視交交叉上核(SCN)のペースメーカ細胞集団(メゾスケール)において、非一様な同期クラスタが生じるメカニズムをモデル化した。SCNスライス標本において観測される日長依存性に現れるクラスタの同期位相特性を離散および連続の周期調節モデルによって説明した。その結果、①振動子の固有周期の分布、②結合強度、③光感受曲線のdeadzone長のバランスによってペースメーカ集団の同期特性が決定されることが明らかになった。この知見は、ヒト概日リズム機構のマクロスケール(行動)とミクロスケール(細胞内過程)を繋ぐ結節点となる。
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