研究課題/領域番号 |
24500372
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
北野 勝則 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (90368001)
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キーワード | 大脳基底核 / 神経回路モデル / パーキンソン病 |
研究概要 |
大脳基底核間接路に位置する視床下核ー淡蒼球外節神経回路は、正常時とパーキンソン病に代表される運動疾患時に顕著な神経活動変化を示すことから、運動機能において重要な役割を担っていると考えられているが、未だ不明な点も多い。従って、当該神経回路モデルを作成し、その回路動態の1.視床下核・淡蒼球間のシナプス結合様式、2.細胞膜特性およびシナプス伝達特性に対するドーパミンの作用、3.皮質ー視床下核および線条体ー淡蒼球入力特性、への依存的特性、について、神経回路モデルの計算機実験と得られたデータの解析により調べた。それぞれの結果は、次の通りであった。 1.先行研究で示唆されているように視床下核と淡蒼球のトポグラフィカルな構造を仮定した場合、興奮性の視床下核ー淡蒼球経路と淡蒼球内の側抑制の結合範囲が一致する場合に、基底核の病的状態時に観測されるリズミックなバースト活動が生じ、それ以外では、正常時のトニック活動を示した。 2.前述した様々な神経結合様式をもつ神経回路について調べたところ、細胞膜特性、シナプス伝達特性それぞれのみに、ドーパミン修飾作用を適用した場合には、前述のバースト活動の低減効果は限定的であったが、その両方への作用では、完全にバースト活動を防ぐことが確認できた。 3.パーキンソン病時に観測されるβバンド活動の当該神経回路への影響を調べるため、皮質ー視床下核、線条体ー淡蒼球経路の振動入力の振幅、位相差をパラメータとして、その回路動態を解析した。皮質ー視床下核経路の入力の方が影響が大きいこと、両経路の位相差に依存し、視床下核ー淡蒼球神経活動の振動成分の強さが変化することが明らかになった。 以上より、これまで個別に示唆されている実験結果や、新たに明らかになった結果を得ることができた。 これを踏まえ、当該神経回路の機能的役割についての考察を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画した研究についてのデータ、解析がほぼ完了しており、その成果をまとめる段階にきているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、関係する学会・研究会等で発表し、この分野を専門とする専門家からのフィードバックを得て、それらを踏まえて論文にまとめ、学術誌に投稿する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究の進捗が想定していたより少し早くなったため、成果発表の機会を増やすことを計画し、そのための旅費に使用と考えた。 外国出張(CNS 2014)あるいは日本神経回路学会全国大会への出張旅費として使用することを検討している。
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