研究課題
本研究では、ウイルスベクターを用いた特定ニューロン集団における入出力解析法を開発・利用して、霊長類中脳ドーパミンニューロンにおける機能集団ごとの入出力の違いを解剖学的あるいは光生理学的に解析することを目的とする。本年度は、線条体特定部位に投射する中脳ドーパミンニューロンにおいてマーカー蛋白質を強力に発現させるためのシステムに利用するため、エンベロープをさらに改変したレンチウイルスベクターの霊長類における感染動態を調べる注入実験を行った。また、昨年度樹立した昨年度樹立した、狂犬病ウイルス固定株としてはもっとも細胞毒性の低いCVS26株をベースとして改変を加えた様々な改変狂犬病ウイルスベクターの外来遺伝子発現効率や細胞毒性の比較検討実験を進め、その結果、非改変型のベクターと比較し、外来遺伝子発現量を大幅に向上させつつ、ベクター由来タンパク質による細胞毒性を低下させた新たな株を得ることに成功した。この株のG遺伝子欠損型ベクターを効率的に作成するため、Gタンパク質安定発現細胞株の樹立実験を行ってこれに成功し、同細胞株を用いたG遺伝子欠損型ベクターを利用て中脳ドーパミンニューロンの入出力を明らかにするための実験を進めている。また、興奮性のOpsin(チャネルロドプシン改変体)を発現するウイルスベクターと光ファイバーを貼り付けた電極を使用して、課題実行中のサルで、光刺激により特定の神経路に選択的な興奮を惹起し、それに伴うニューロンの活動変化や行動変化を誘発させる実験の2頭目の記録を行い、神経路選択的な光刺激法がサルで実用可能であることを実証することに成功した(論文投稿中)。
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Anat Rec
巻: 298 ページ: 630-6
10.1002/ar.23100
http://www.pri.kyoto-u.ac.jp/sections/systems_neuroscience/index.html