研究課題/領域番号 |
24500380
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
横田 茂文 島根大学, 医学部, 助教 (50294369)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | オレキシン / 結合腕傍核 / 横隔神経核 / 腹側呼吸ニューロン群吻側部 / 舌下神経核 / 覚醒 |
研究概要 |
本研究では、覚醒・睡眠状態によって変化する呼吸の調節機構を理解するために、覚醒・睡眠の制御ペプチドであるオレキシンが呼吸および気道の開通性を調節する神経路に如何に作用しているのかを、機能形態学的立場から追求することを目的とした。 平成24年度は、橋の呼吸調節中枢である結合腕傍核において、横隔神経核(PhN)や腹側呼吸性ニューロン群吻側部(rVRG)、あるいは舌下神経核(HGN)に投射する各ニューロンと、オレキシン神経終末との接合様態を光顕レベルで詳細に解析した。 実験では、成獣ラットのPhNやrVRGあるいはHGNに逆行性標識物質であるフルオロゴールド(FG)を注入し、免疫組織化学的にオレキシン含有神経終末を検出後、同一標本でFG標識ニューロンを免疫組織化学によって検出した。その結果、結合腕傍核においてオレキシン含有神経終末の密な分布が認められ、その分布領域はPhNやrVRGあるいはHGNへ投射するニューロンの分布と一致することが認められた。この領域内では、オレキシン含有神経終末が、PhNやrVRGあるいはHGNへ投射するニューロンに近接する像を観察した。また、生後5日令の幼若動物においても結合腕傍核相当領域にオレキシン含有神経終末が認められた。平成25年度はこれらオレキシン含有神経終末とPhNやrVRGおよびHGN投射結合腕傍核ニューロンとの間に形成されるシナプスを電顕下で解析するとともに、幼若動物においても同様の解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の開始当初はオレキシン含有神経終末の検出に通常の免疫染色を用いていたが、オレキシン線維は細く繊細であるため、免疫組織化学的検出が不安定であった。そのためチラミドによる増感を加えることにより安定的な検出ができるようになった。また、開始当初はコレラトキシンBサブユニット(CTb)を逆行性標識物質として使用したが、CTbは順行性標識も出現するという特性上、解析が困難であった。そのため、逆行性標識物質を、逆行性標識のみ現れるフルオロゴールドに変更し、改めて実験を行った。これら方法の改良を2点行ったため、計画にやや遅延が生じている。
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今後の研究の推進方策 |
24年度の計画を完遂し、25年度の計画を遂行する。 計画では実験動物としてラットを用い、免疫組織化学によりオレキシン含有神経終末を検出することにしているが、近年の遺伝子工学の発展により、オレキシン神経を蛍光蛋白で標識した動物が作成され、これにのり簡便でかつ明確なオレキシン神経の検出が可能となっている。本研究では、効率よく解析を行うために遺伝子改変動物も使用する計画に変更する。25-26年度では、遺伝子改変動物を用いた実験を行えるように準備し、それらの動物を使った解析を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、購入予定であった電子顕微鏡用標本作成のためのダイヤモンドナイフを購入していないため研究費の繰越が生じた。 平成25年度は、研究計画にそった物品の購入及び、電子顕微鏡用ダイヤモンドナイフの購入と遺伝子改変動物の輸送に関わる費用に使用する予定である。
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