研究課題/領域番号 |
24500382
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
大内 淑代 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00253229)
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キーワード | opsin 5 / 網膜 / 紫外光 / 神経内分泌 / 光 / 視床下部 |
研究概要 |
鳥類と哺乳類を用いて、短波長光感受性視物質であるオプシン5発現細胞の生体内での機能とその発生分化について研究を行っている。本研究では、人工核酸切断酵素Transcription Activator-Like Effector (TALE)ヌクレアーゼを用いた動物個体ゲノム編集技術により、オプシン5発現細胞の機能と発生分化の分子機構を明らかにすることを目的とした。本年度は、昨年度に構築したオプシン5-TALENベクターを用いて、オプシン5ゲノム改変マウスを作製した。また、哺乳類オプシン5タンパク質の網膜や眼における局在とその分子特性について明らかにし、共同研究の成果として論文発表した(Yamashita, Ono, Ohuchi et al., J. Biol. Chem, 2014,289:3991-4000)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書では本年度中に、作製したオプシン5ゲノム改変動物の解析および蛍光蛋白質遺伝子レポーターノックイン動物の作製を行う予定であったので、その意味では達成が遅れている。それは、他の人工核酸切断酵素CRISPRなどを用いても、ノックイン動物の作製はいまだ世界的に効率よく確実に行うに至っていないことによる。しかし、本年度はTALENによるオプシン5ノックアウトマウスが効率よく作製でき、現在ライン化を進めている。また、マウス脳でのオプシン5タンパク質の同定や、網膜での同タンパク質発現細胞の局在を明らかにすることに成功し、成果を報告できたことからも、概ね順調に研究が進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、最新の海外での報告を参考にして、当該マウスの作出に努める。ライン化したオプシン5ノックアウトマウスを用いて、短波長光に関連した行動の解析を行う。レポーターノックインマウスについては、人工核酸切断酵素を用いた方法でどうしても成功しないようであれば、従来の方法でのマウス作出に切り替える。新しい抗オプシン5抗体を用いて、あるいは培養細胞でオプシン5を発現させ、オプシン5発現細胞をセルソーター等で分画する。分画した細胞を用いて遺伝子プロファイリングを行い、オプシン5発現細胞の性質やその発生分化に関わる遺伝子ネットワークを明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は、レポーターノックインマウスの作出に至らなかったため、次年度使用額が生じた。 上述の次年度使用額は、ゲノム改変マウスの飼育、繁殖、維持、レポーターノックイン動物・細胞の作製に用いる。受精卵へのインジェクションのための分子生物学試薬、ゲノム改変の有無同定のシークエンシング費用に主に用いる。その他の経費については、申請書の通り、ゲノム改変動物の解析のための試薬プラスチック類、対照となる実験用動物の購入、マウス行動解析のための研究打ち合わせおよび成果発表(研究代表者、研究協力者)、論文作成のための費用(英文校閲)に用いる。
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