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2012 年度 実施状況報告書

成体脳内における血管に沿ったニューロン移動機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 24500384
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

岸本 憲人  名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50508299)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードニューロン新生 / 神経科学 / 再生医学 / 脳室下帯
研究概要

初年度は、移動中の新生ニューロンと血管パターニングとの位置関係、新生ニューロン-血管間におけるSdf1/Cxcr4ケモカインシグナリングの関与を調べた。
1.移動経路過程における新生ニューロンと血管パターニングの解析:新生ニューロンと血管を二重蛍光標識したトランスジェニックフィッシュ成魚の脳切片上で免疫染色法により放射状グリアを標識後、新生ニューロン-グリア-血管の細胞間の位置関係について調べた。脳室壁に並んだ放射状グリア(神経幹細胞)から産生された新生ニューロンは、まず血管に伸びた放射状グリアの突起を伝って血管まで移動し、その後、新生ニューロンは前方の嗅球に向かって配向している血管を足場にして嗅球に移動していることを示唆する結果を得た。
2.新生ニューロンと血管におけるSdf1/Cxcr4ケモカインシグナリングの解析:Cxcr4受容体を欠損したゼブラフィッシュ成魚脳内では新生ニューロンが血管にホーミングできず、嗅球に到達した新生ニューロンの数が減少した。Cxcr4受容体のアンタゴニスト(AMD3100)で処理した成魚の脳内でも同様の異常を認めた。本ケモカインシグナリングは新生ニューロンが血管を足場にするために必要であることがわかった。
3.血管と血球を二重標識したトランスジェニックラインの作成:脳血流を調べるために、血球と血管を二重蛍光標識したトランスジェニックフィッシュを作成し、本トランスジェニックラインの稚魚(生後3日目)脳内の血流を確認した。現在、成魚まで飼育中であり、次年度に成魚脳内の血流を観察する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在、申請書に記載した研究計画通り、ほぼ順調に進展している。
ただし、新生ニューロン移動の足場になっている血管の種類(動脈/静脈)については、それぞれのマーカー抗体を用いて免疫染色法により解析中である。

今後の研究の推進方策

次年度以降は、初年度に作成したトランスジェニックラインを用いて、新生ニューロンの移動、血管のパターニング、血流の関係を明らかにしていくことを目的とする。
(1) ゼブラフィッシュ成魚脳内の新生ニューロンの移動と血流の関係:初年度に作成したトランスジェニックラインを用いて、蛍光顕微鏡下で新生ニューロンが移動の際に足場にしている血管内の血流をイメージングすることによって、ニューロン移動方向と血流方向との相関性を調べる。さらに、新生ニューロンと血球を二重標識したトランスジェニックフィッシュを作成し、血流の速さと新生ニューロン移動との相関性についても解析を行う。
(2) 成魚傷害脳における新生ニューロンの移動と血管 (動脈/静脈) パターニングの解析:申請者らが確立したゼブラフィッシュ成魚傷害脳モデルおいて、脳傷害部位近傍で血管のリモデリングが起こっていることがわかっている。そこで、成魚傷害脳における新生ニューロンの分布と血管(動脈/静脈)パターニングを調べる。

次年度の研究費の使用計画

ゼブラフィッシュの飼育システムのメンテナンス(餌、ろ過フィルター等):50千円
免疫染色における一次・二次抗体および各種試薬:1000千円
成魚から脳の単離、脳血流観察のための手術などに使用する実験器具:250千円
研究成果を学会などで発表するための旅費等:1300千円
研究成果を論文などで発表した場合の論文別刷り代又は通信費等:400千円

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] Neuronal regeneration in a zebrafish model of adult brain injury2012

    • 著者名/発表者名
      Norihito Kishimoto, Kohei Shimizu, and Kazunobu Sawamoto
    • 雑誌名

      Disease Models & Mechanisms

      巻: 5 ページ: 200-209

    • DOI

      doi: 10.1242/dmm.007336 vol. 5 no. 2 200-209

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Planar polarity of ependymal cilia2012

    • 著者名/発表者名
      Norihito Kishimoto and Kazunobu Sawamoto
    • 雑誌名

      Differentiation

      巻: 83 ページ: S86-S90

    • DOI

      doi: 10.1016/j.diff.2011.10.007

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 成体神経幹細胞老化のゼブラフィッシュモデル2012

    • 著者名/発表者名
      岸本憲人、澤本和延
    • 雑誌名

      基礎老化研究

      巻: 36 ページ: 43-45

    • 査読あり
  • [学会発表] ADULT NEUROGENESIS AND NEURONAL REGENERATION IN THE ZEBRAFISH BRAIN

    • 著者名/発表者名
      Norihito Kishimoto, Kohei Shimizu, Hideto Nagai, Kazuhide Asawakawa, Akihiro Urasaki, Shigenori Nonaka, Koichi Kawakami, Kazunobu Sawamoto
    • 学会等名
      国際幹細胞学会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県)
  • [学会発表] 成体神経幹細胞老化のゼブラフィッシュモデル

    • 著者名/発表者名
      岸本憲人、武田芳樹、澤本和延
    • 学会等名
      日本基礎老化学会
    • 発表場所
      東邦大学習志野キャンパス(千葉県)
  • [学会発表] Aging of the neurogenic niche in the zebrafish

    • 著者名/発表者名
      Norihito Kishimoto, Kazunobu Sawamoto
    • 学会等名
      日本神経科学学会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場(愛知県)
  • [学会発表] Sirt1はゼブラフィッシュ成魚脳室下帯の神経幹細胞の維持に必須である

    • 著者名/発表者名
      岸本憲人、澤本和延
    • 学会等名
      日本分子生物学会
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡県)
  • [学会発表] 成体神経幹細胞におけるSirt1の役割

    • 著者名/発表者名
      岸本憲人、澤本和延
    • 学会等名
      日本基礎老化学会
    • 発表場所
      大阪大学中之島センター(大阪府)
  • [学会発表] Role of Sdf1/Cxcr4 signaling in the formation of the rostral migratory stream of new neurons along the blood vessels in the adult zebrafish brain

    • 著者名/発表者名
      Norihito Kishimoto, Hideto Nagai, Shota Nohira, and Kazunobu Sawamoto
    • 学会等名
      日本神経科学学会
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都府)

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公開日: 2014-07-24  

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