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2014 年度 実績報告書

幼少期の学習過程における神経系の可塑的変化のメカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 24500388
研究機関北里大学

研究代表者

浜崎 浩子  北里大学, 一般教育部, 教授 (00211483)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード行動神経科学 / 刷込み行動 / NMDA受容体 / NR2B / ヒヨコ / 記憶学習 / 幼若期
研究実績の概要

ヒヨコの刷込み行動は、幼若期に学習の臨界期(学習可能な時期)がある学習のモデルである。刷込み行動には、ヒヨコの視覚中枢と記憶の貯蔵領域との間の神経回路が働いており、この回路における神経情報伝達が促進・強化されることが必須である。この過程には、NR2B含有NMDA受容体(脳内の主要な神経伝達物質であるグルタミン酸を受容する)の活性化が関与している。本研究では、刷込みの学習でどのような時間経過とメカニズムによってこの受容体の活性化が起き、その結果刷込みの神経回路を作る細胞が変化していくのかをとらえることで、学習の成立機序の解明をめざした。
刷込みの神経回路を作る細胞として、この回路の重要な位置にあるHDCoと呼ばれる細胞に注目して解析を行った。神経活動の光学的イメージング法や電気生理学的方法を用いた解析で、刷込み学習直後では、HDCo細胞のNR2B含有NMDA受容体が活性化されており、生化学的解析ではシナプス膜上でこの受容体が発現上昇していた。NMDA受容体の活性化と発現上昇には、活性化が起きるほどより活性化が進むという、正のフィードバック機構が働いていた。そして、これらの変化はトレーニング初期のまだ刷込みが成立していない時期にすでに起きていた。トレーニングを継続すると、やがてAMPA受容体(グルタミン酸を受容するもう1つの受容体)の活性化と発現上昇が起き、刷込みの成立が見られることが明らかになった。
さらに、脳細胞で働くNR2B含有NMDA受容体を増加させる操作を行うと、より短いトレーニングで刷込み行動が成立することが示された。
これらのことから、刷込みのトレーニングによって、刷込みの神経回路の細胞でNR2B含有NMDA受容体の活性化が進むことが、刷込み成立の初期段階として重要であることが明らかとなった。これは、幼少期における様々な学習の成立メカニズムを示唆していた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Positive feedback of NR2B-containing NMDA receptor activity is the initial step toward visual imprinting: a model for juvenile learning.2014

    • 著者名/発表者名
      Nakamori, T., Sato, K., Kinoshita, M., Kanamatsu, T., Sakagami, H., Tanaka, K. and Ohki-Hamazaki, H.
    • 雑誌名

      J. Neurochem.

      巻: 132 ページ: 110-123

    • DOI

      10.1111/jnc.12954.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] インプリンティング(刷込み)行動を司る神経回路とその制御機構を探る2014

    • 著者名/発表者名
      浜崎 浩子
    • 学会等名
      日本動物学会第85回大会 シンポジウム「動物の心の仕組みを探る~神経回路形成と行動制御を司る分子機構~」
    • 発表場所
      東北大学(宮城県仙台市)
    • 年月日
      2014-09-12
    • 招待講演
  • [学会発表] NR2B-dependent neural plastic changes constitute the initial step of juvenile learning.2014

    • 著者名/発表者名
      Tomoharu Nakamori, Katsushige Sato, Masae Kinoshita, Kohichi Tanaka, Hiroko Ohki-Hamazaki.
    • 学会等名
      第37回日本神経科学大会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2014-09-11
  • [備考] 北里大学 一般教育部 医療系研究科 浜崎浩子研究グループ

    • URL

      http://www.clas.kitasato-u.ac.jp/bio/personal/hamazaki/index2b.html

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公開日: 2016-06-01  

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