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2013 年度 実施状況報告書

モデル動物を用いたタウオパチーの病態解明と肝細胞増殖因子による治療効果の検討

研究課題

研究課題/領域番号 24500389
研究機関姫路獨協大学

研究代表者

角山 圭一  姫路獨協大学, 薬学部, 准教授 (70454767)

研究分担者 松山 正剛  姫路獨協大学, 薬学部, 教授 (80243319)
谷口 泰造  姫路獨協大学, 薬学部, 教授 (70346253)
キーワードタウオパチー / タウ蛋白質 / 肝細胞増殖因子
研究概要

タウ蛋白質は神経軸索内の微小管結合蛋白質の1つで、細胞骨格と神経軸索内の軸索輸送など重要な役割を担っている。何らかの原因でタウ蛋白質に異常(タウ蛋白質の変異、過剰なリン酸化反応など)が生じると、神経細胞内でタウ蛋白質が不溶化して凝集体(神経原線維変化)を形成・蓄積し、その結果、神経細胞死にともなう様々な臨床症状を呈する。この病態をタウオパチーといい、アルツハイマー病、進行性核上性麻痺、ピック病、前頭側頭葉変性症などが知られている。
本研究では、タウオパチーの1つで、第 17 染色体遺伝子に連鎖し、前頭側頭型認知症、パーキンソニズムを示す家族性前頭側頭葉認知症 (FTDP-17) に注目し、FTDP-17 の病態解明と治療薬開発を目的とする。実験では、これまでに研究代表者らが作製したヒト変異タウ蛋白質を神経特異的に過剰発現するトランスジェニックマウスを用いて、行動学的解析、電気生理学的解析、生化学・組織学的解析を実施している。その際、ヒトでタウ蛋白質の変異部位により様々な表現型(病理所見や臨床所見など)が報告されていることから、2種類の変異タウ蛋白質(N279K と G272V)を過剰発現するトランスジェニックマウスで上記の解析を実施し、表現型の解析を継続している。また、これらのヒト変異タウ蛋白質トランスジェニックマウスに、神経保護作用、学習記憶機能亢進作用および神経新生(再生)作用を示す神経栄養因子である肝細胞増殖因子 (HGF) を神経特異的に供給し、FTDP-17 に対する HGF の治療効果を検討する。本研究で、これら2種類の過剰発現マウスが FTDP-17 の疾患モデルとしての有用性が確認できれば、その病態解明と治療薬開発に結び付くものであると考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究では、実験内容から時間経過を追ってタウオパチーの病態変化を 5 ~ 20 か月齢まで観察するため、月齢の異なる(5,10,15,20 カ月齢)マウスが必要となる。また、病態変化の経過観察は、行動学的解析、電気生理学的解析、生化学・組織学的解析により実施するため、数多くのマウスが必要となる。実験に使用する2種類のヒト変異タウ蛋白質(N279K と G272V)トランスジェニックマウスは、交配により本学動物実験施設内で自家繁殖している。本研究の申請時から前もってヒト変異タウ蛋白質(N279K と G272V)トランスジェニックマウスの準備を進めていたが、予想以上に産児数が少なく、実験に必要な数のマウスの確保が困難な状況になっている。そのため、平成 24 年度と同様に、平成 25 年度の実験計画がやや遅れているのが現状である。

今後の研究の推進方策

今後の研究の推進方策は、研究計画調書「平成 25 年度以降」の研究計画にしたがって遂行する。簡潔には、1)作製した2種類のヒト変異タウ蛋白質トランスジェニックマウスに肝細胞増殖因子(HGF)を供給し、FTDP-17 の高次脳機能障害に対する HGF の効果を行動学的、電気生理学的、生化学・組織学的に解析する。HGF の供給は、「2種類のヒト変異タウ蛋白質トランスジェニックマウスに、ラット HGF を神経特異的に発現する HGFトランスジェニックマウスを交配して各々を過剰発現するダブルトランスジェニックマウスの作製」および「HGF 発現ウイルスベクターの投与」により施行する計画である。ヒト変異タウ蛋白質トランスジェニックマウスの準備に時間がかかることから、早々に、ダブルトランスジェニックマウスの作製に取りかかっている。しかし、ヒト変異タウ蛋白質トランスジェニックマウスの準備に時間がかかっているため、ダブルトランスジェニックマウスの作製も当初の予定よりも遅れている。2)FTDP-17 の高次脳機能障害に対する HGF の治療効果の分子作用機構を生化学的・組織学的に解析する。さらに、ゲノム・プロテオーム解析を実施し、HGF が FTDP-17 の有効な治療薬になる可能性を総合的に評価する。また、平成 24, 25 年度の研究計画の実験を継続し、研究を完結させる。

次年度の研究費の使用計画

【現在までの達成度】および【今後の研究の推進方策等】にも記載したが、本研究の申請時から実験に使用するヒト変異タウ蛋白質(N279K と G272V)トランスジェニックマウスの準備を進めていたが、予想以上に産児数が少なく、実験に必要な数のマウスの確保が困難な状況になっている。今年度は、主にヒト変異タウ蛋白質トランスジェニックマウス、HGF トランスジェニックマウス、および、両者を過剰発現するダブルトランスジェニックマウスの繁殖・維持を行った。そのため、研究費の主な使途はマウスの繁殖維持に必要な物品費のみであったため、次年度使用額が発生した。
実験に使用するマウス(ヒトタウ蛋白質トランスジェニックマウス、HGF トランスジェニックマウス、ダブルトランスジェニックマウス)を確保することが研究を進める上で欠かせないため、まずは、これらのマウスの繁殖維持し、実験に必要なマウスの作製に努め、実験を進捗させ、少しでも計画した研究を実施できるようする。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Proteomic analysis of time-dependent changes in proteins expressed in mouse hippocampus during synaptic plasticity induced by GABAA receptor blockade.2013

    • 著者名/発表者名
      Kenji Matsuura, Tooru Nakamura-Hirota, Masaoki Takano, Mieko Otani, Keiichi Kadoyama, Shogo Matsuyama
    • 雑誌名

      Neuroscience Letters

      巻: 555 ページ: 18-23

    • DOI

      0.1016/j.neulet.2013.07.036

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 細胞表面受容体 -EphA3受容体とシナプス可塑性-2013

    • 著者名/発表者名
      松山正剛、角山圭一、松浦健二
    • 雑誌名

      生体の科学

      巻: 64 ページ: 474-475

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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