研究課題/領域番号 |
24500389
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研究機関 | 姫路獨協大学 |
研究代表者 |
角山 圭一 姫路獨協大学, 薬学部, 准教授 (70454767)
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研究分担者 |
松山 正剛 姫路獨協大学, 薬学部, 教授 (80243319)
谷口 泰造 姫路獨協大学, 薬学部, 教授 (70346253)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | タウオパチー / タウ蛋白質 / 学習記憶機能 / 肝細胞増殖因子 |
研究実績の概要 |
タウ蛋白質は神経軸索内の微小管結合蛋白質の1つで、細胞骨格と神経軸索内の軸索輸送など重要な役割を担っている。何らかの原因でタウ蛋白質に異常(変異、過剰なリン酸化反応など)が生じると、神経細胞内でタウ蛋白質が不溶化して凝集体(神経原線維変化)を形成・蓄積し、その結果、神経細胞死にともなう様々な臨床症状を呈する。この病態をタウオパチーといい、アルツハイマー病、進行性核上性麻痺、ピック病、前頭側頭葉変性症などが知られている。 本研究では、タウオパチーの1つで、第17染色体遺伝子に連鎖し、前頭側頭型認知症、パーキンソニズムを示す家族性前頭側頭葉認知症(FTDP-17)に注目し、これまでに研究代表者らが作製したヒト変異タウ蛋白質を神経特異的に過剰発現するマウスを用いて、行動学的解析、生化学・組織学的解析などを実施し、FTDP-17の病態解明を目的に研究を実施した。ヒト変異タウ蛋白質過剰発現マウスから学習記憶機能に重要な役割をもつ海馬および大脳皮質から蛋白質サンプルを調製し、二次元電気泳動により蛋白質を分離後、野生型マウスと比較して発現変動している蛋白質を質量分析器により同定した。その結果、発現レベルが変動した蛋白質が数種類同定された。また、リン酸化レベルが変動した蛋白質も同定された。従って、同定されたこれらの蛋白質がFTDP-17による学習記憶障害などの病態に寄与していることが示唆された。さらに、FTDP-17の治療薬開発を目的に、ヒト変異タウ蛋白質過剰発現マウスに神経栄養因子の1つである肝細胞増殖因子(HGF)を神経特異的に過剰発現するマウスを交配して作製したダブル過剰発現マウスを用いて、同様の解析を実施し、HGFがFTDP-17に対する有効な治療薬となる可能性を調べている。これが明らかになれば、HGFがFTDP-17をはじめとするタウオパチーの治療薬となる可能性を示唆することになる。
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