細胞接着分子テレンセファリンが細胞外マトリックス蛋白質の一つであるビトロネクチンと結合することを見出した。死細胞を模倣したビトロネクチンコート・マイクロビーズを培養海馬神経細胞に加えるとテレンセファリンの発現に依存してビーズを取り囲むようにカップ様の突起構造を樹状突起上に形成することが解った。また、UV照射によりアポトーシスを起こした細胞断片はビーズと同様に樹状突起に結合し、この断片にはビトロネクチンが結合していることを抗体染色により明らかにした。この死細胞断片の神経細胞への結合もテレンセファリンに依存していることを示し、死細胞を模倣したビーズを取り囲むカップ様構造の形成機構をビーズ結合タンパク質のプロテオミクス解析から明らかにし、この結果から神経細胞による死細胞のクリアランス機構を説明できると考えた。このビーズ結合タンパク質画分にはGタンパク質、ホスファチジルイノシトールのリン酸化制御分子、アクチン骨格形成制御分子が多く含まれていた。このことからテレンセファリンや7回膜貫通型レセプターにより死細胞が認識され、ホスファチジルイノシトールのリン酸化やアクチン重合を制御することによりファゴサイトーシス様のカップ構造を形成していることが示唆された。これらの結果をもとに論文を投稿し、査読者のコメントに答えるためにテレンセファリン欠損マウスと野生型マウスより単離した培養海馬神経細胞を用いて作製したビーズ結合画分の比較や抗体染色を行った。
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