研究課題
哺乳類特有の脳組織である大脳新皮質は多様なニューロンから構成されるが、これらは発生過程で神経幹細胞が非対称分裂を繰り返しながら経時的に異なるニューロンを生み出すことで、最終的に共通の形態や投射パターンをもつ細胞同士が集まった6層構造を形成する。本研究は神経幹細胞からニューロンへの分化の過程で作動する遺伝子プログラムに焦点をあて、大脳皮質ニューロンの層特異的分化機構を明らかにすることを目的としている。今年度は、これまでに同定した層特異的発現遺伝子を介した大脳皮質上層ニューロンの樹状突起形態決定機構について解析を行った。初めにCre/loxp組み換えシステムを用いた時期特異的な遺伝子発現の抑制により、大脳皮質上層ニューロンの分化過程において、錐体細胞の特徴である尖端樹状突起の形成が、辺縁帯直下到達後のシグナル伝達により制御されることを見出した。さらに、この時期における上層ニューロンの動態について詳細に解析を進めた結果、細胞内の細胞小器官の局在を変化させることで、尖端樹状突起の初期形成を促進していることが示唆された。一方、大脳皮質上層ニューロンの辺縁帯とのコンタクトが阻害されたマウスにおいては尖端樹状突起の極性異常がみられたことから、大脳皮質の神経回路形成には、層特異的な遺伝子発現プログラムを介した、樹状突起の数と極性を制御する形態決定機構を用いていることが明らかになった。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (13件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
Journal of Neuroscience
巻: 34 ページ: 5717-5731
10.1523/JNEUROSCI.4256-13.2014
巻: 34 ページ: 3259-3276
10.1523/JNEUROSCI.2334-14.2014
Neuroscience Research
巻: 86 ページ: 37-49
10.1016/j.neures.2014.07.002
医学のあゆみ
巻: 251 ページ: 1123-1128
http://hanashima-lab.wix.com/main-page