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2013 年度 実施状況報告書

Dmrtファミリー遺伝子による大脳新皮質神経幹細胞の維持機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24500395
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

今野 大治郎  独立行政法人理化学研究所, 発生・再生科学総合研究センター, 研究員 (00362715)

キーワード神経幹細胞
研究概要

本年度は、哺乳類大脳背側領域神経幹細胞に特異的に発現する核内因子であるDmrt3およびDmrta2が制御する遺伝子発現ネットワークの解明を試みた。
我々のこれまでの研究から、Dmrt3およびDmrta2の二重変異マウスでは、大脳新皮質領域においてGABA作動性ニューロンが異所性に産生されていることが明らかとなっている(Konnno et al (2012)、未発表)。そこで、Dmrt3およびDmrta2によるGABA作動性ニューロン産生の抑制メカニズムを明らかにするため、胎生12.5日におけるDmrt3およびDmrta2の二重変異体大脳背側部位を用いて、次世代シーケンサーによる網羅的遺伝子発現解析を行った。その結果、二重変異体の大脳背側領域において、大脳腹側領域の神経前駆細胞に特異的に発現する複数の転写因子の顕著な発現上昇が認められた。これらの遺伝子発現変化は、Dmrt3およびDmrta2の一重変異体では認められなかったことから、Dmrt3およびDmrta2は、大脳神経幹細胞の維持において協調的に機能していることが示唆された。さらに、クロマチン免疫沈降法と次世代シーケンサー解析の組み合わせにより、胎生12.5日大脳背側領域細胞におけるDmrtのゲノムDNA上での結合領域を網羅的に検索したところ、腹側特異的に発現する複数の遺伝子群のゲノム領域に結合していることが明らかになった。
以上の結果から、Dmrt3およびDmrta2は大脳の発生過程において腹側の発生を制御する遺伝子の発現を抑制することで、大脳背側領域でのグルタミン酸作動性ニューロンの産生を保証していることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は当初の目的通り、網羅的遺伝子発現解析とクロマチン免疫沈降法の組み合わせにより、Dmrtファミリー因子が発現を制御する下流遺伝子を同定することが出来た。これら下流遺伝子の発現変化は、Dmrt3およびDmrta2の二重変異体において認められるGABA作動性ニューロンの異所性な産生と良く一致しており、Dmrtが制御する大脳新皮質発生機構の理解が大きく進展した。

今後の研究の推進方策

研究計画に従って実験を進め、Dmrtファミリー遺伝子の発現制御を用いたES細胞の分化制御を試みる。

次年度の研究費の使用計画

当初計画していた次世代シーケンサーの使用に関連した消耗品に関して製品の改良が進み、当初の計画から大幅に予算の削減が可能となったため。
来年度の研究計画で使用する予定のES細胞およびiPS細胞に関して、その未分化性維持を飛躍的に向上させることができる培地組成の報告がなされた。よって、研究計画に関しては変更はないが、使用する培地の変更とそれにともなう各種阻害剤等の購入に予算を使用する計画である。

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公開日: 2015-05-28  

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