研究課題
アルツハイマー病(AD)の原因遺伝子であるアミロイド前駆体タンパク質(APP)が代謝・運送の異常を起こすことで、アミロイドβ蛋白(Aβ)産生の変化が起こり、ADの発症に深く関わっていることが報告されている。従って、APPの代謝機構を明らかにすることはADの発症原因解明に重要である。最近、我々はATBF1(AT-motif binding factor1)が AD脳の神経細胞の細胞質で過剰発現することを発見した。本研究ではAPP代謝及びAβ産生におけるATBF1の機能を明らかにすることによって従来知られていなかった新たなAPP代謝、Aβ産生制御系の解明を目的とする。前年度までは、ATBF1はAPP細胞質の681-690ドメイン部分と結合するやAPPがATBF1の893-3288ドメイン部分と結合することでAPPが安定化させAβ産生を増加させることが分かった。また、ATBF1の過剰発現によってβ及びγセクレターゼの活性が高いエンドソームにAPPを運送させることでAβ産生が促進されることも分かった。本年度は、まず、AD脳組織切片を用いてATBF1とAPPの局在を免疫染色で調べた。その結果、細胞レベルの結果と同様にAD脳においてもATBF1はAPPと共局在していることが確認された。また、APPの細胞質ドメインと結合することでAPPの代謝・機能・運送等を制御し、Aβ産生に影響するX11LとATBF1の相互作用に関する検討を行うため、ATBF1、APP、X11L発現ベクターをHEK293T細胞に共発現させ、免疫沈降法やELISA法を用いて調べた。その結果、ATBF1はX11Lと結合することでAPPとX11Lが結合することを抑制しAβ産生を促進させることが分かった。
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