研究課題/領域番号 |
24500404
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
吉田 成孝 旭川医科大学, 医学部, 教授 (20230740)
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研究分担者 |
板東 良雄 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (20344575)
田中 達英 旭川医科大学, 医学部, 助教 (80567032)
村上 公一 旭川医科大学, 医学部, 助教 (90400085)
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キーワード | 脱髄 / 電子顕微鏡 / プロテアーゼ |
研究概要 |
脊髄および末梢神経を損傷した後の髄鞘および、軸索の変化の経時的に観察した。マウスに対し、Th8脊髄に荷重を落下することにより脊髄損傷を行った。このマウスを灌流固定後に電子顕微鏡による観察を行った。この結果、一部の髄鞘に脱髄が認められたが、正常な軸索と髄鞘も認められた。ミエリン塩基性タンパク質(MBP)に対する抗体を用いた免疫組織化学を用いた経時的な変化では、損傷後4日目には著名な減少が見られたが、損傷後14日目には回復が観察された。走査電子顕微鏡と透過型顕微鏡で脱髄の経時的変化を詳細に検討したところ、始めに軸索の細胞膜の非平滑化が生じ、続いて、オリゴデンドロサイトの細胞質がミエリンと軸索間に侵入してミエリンの過形成のような状態が生じて、脱髄に至る像が得られた。 次に、免疫組織化学および免疫電顕法により、髄鞘変化とプロテアーゼ発現の関連を観察した。脊髄損傷後にセリンプロテアーゼであるKLK6およびKLK8発現の増強が観察されているが、KLK6遺伝子ノックアウト(KLK6-KO)マウスにおいてはKLK8の発現が減弱していることがわかった。MBP発現を野生型およびKLK6-KOで検討したが、有意な発現の差は認められていない。包埋後免疫電子顕微鏡による観察のために、包埋条件の検討を行ったところ、既報(Phend et al., 1995)に過マンガン酸カリウムを加えたものにより、良好な反応と組織の保持が認められた。この方法により、MBP発現を検討したが、KLK6-KOと野生型での有意な発現の差は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.脱髄の状況を計画通りに電子顕微鏡下にて観察できた。 2.脱髄とプロテアーゼの関連に関して、検討を行い、現在のところネガティブデータであるが、結果を得られている。 3.多発性硬化症のモデル動物において、抗体が脊髄実質内に存在することが明らかとなったために、提唱している脱髄モデルを支持する証拠と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
髄鞘変化とオリゴデンドロサイトが発現するプロテアーゼの関連を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品等の購入で、端数の金額が余ったので、次年度のものと合わせて使用することとした。 動物、抗体、電子顕微鏡試料作成の消耗品を含む物品費に801,761円 ヨーロッパ神経科学大会、神経化学学会などでの成果発表の旅費に500,000円を支出予定である。
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